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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第7章 最終選別に向けて




杏寿郎がふみのの稽古を始めてから
半年が経っていた。

杏寿郎は自身の任務の合間を縫って
ふみのに指導をしていた。


今日も杏寿郎は、
容赦無くふみのに木刀を向ける。

ふみのが辛そうな顔をしていても
杏寿郎は心を鬼にして、
ふみのを奮い立たせた。


「ふみの!!立て!!
 その瞬間にも鬼は襲いかかってくるぞ!!」

「……っつ…っ」

全身に痛みが走る。
体が動かない。
足にも力が入らない。
全ての筋肉が引き攣っているようだった。

地面に手をついて体を起こすが、
痛みで力が入らず、起き上がれない。

「ふみの!!諦めるな!!
 自分に言い聞かせろ!!」

「……んっ…っ」

ふみのは残っている力を振り絞り、
よろめきながら立ち上がる。

「さあ!!来い!!」

ふみのは鉛のようになった腕を持ち上げ、
木刀を構えた。

(か、身体中が、痛い……っ。
 力が 入らない……っ)

今まで感じたことのない、
裂けるような激痛がふみのを襲う。

あまりの痛さに頭が麻痺しているのか、
涙も出てこなかった。


(…っでも、だめっ、
 …諦めちゃ だめ……っ!)


「……くっ…っ」


ふみのは歯を食いしばり、
杏寿郎に向かって、木刀を振るう。


「……はぁっ!!!」

ガンッ!!!


ふみのと杏寿郎の木刀が
ギシギシと音を立てて、擦れ合う。

「君の力はそんなものなのか!!
 もっと力を込めろ!!」

杏寿郎からの力に、
ふみのの体は、じりじりと後ろに下がっていく。


「………っんっ…っ」

(刀が、びくともしない……っ)


苦しい。辛い。
心が折れそうだ。

毎日、毎日、限界まで鍛錬を続けても、
杏寿郎には全く歯が立たない。

寧ろ、自分の弱さが目立ってきて
鬼殺隊には向いていないとまで、思い始めた。


(ああ、全然、強くなれない、私は…全然……っ)


ふみのの木刀を持つ手が揺らいだ。
それを杏寿郎は見逃さなかった。



「ふみの!!
 なぜ鬼殺隊を目指している!!」


(………っ?!!)



杏寿郎の言葉にふみのは、はっと目を見開く。



(……何の、為に…っ)



「思い出せ!!
 ふみの!!」


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