火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
朝食を終えて、
三人は庭に出た。
「よし、それでは、
その型を見せてもらおう」
「はい!」
ふみのは大きく息を吸った。
目を閉じ、意識を刀に集中させる。
手元に力を込めると、じわりと熱を帯びる。
ふみのの周囲に光が集まってくる。
体の芯がドクンと唸った。
(今だ!!!)
「光の呼吸 ノ型 翠光!!」
ふみのの刃から鋭い閃光が放たれた。
それは以前にも増して、光度が強くなっていた。
複数の細い光が四方八方に飛び散る。
翠色の閃光は、大きな音を立てて、
地面に大きな亀裂を残した。
(…前よりも、
刀への振動が強くなってる…っ)
少しずつではあるが、
呼吸の威力が上がっているようにも感じた。
その分、後からくる体力の消耗が激しい。
肩で息をするふみのに
杏寿郎はゆっくり近寄る。
杏寿郎の手が、
そっとふみのの頭を、ぽんぽんと撫でた。
「…ふみの。
よく、一人で、ここまで頑張ったな」
杏寿郎の言葉に
ふみのの目頭が熱くなる。
「…!杏寿郎…、ありがとう…っ」
「もちろん、体力も呼吸の精度も、
まだまだ十分ではないが、
ふみのが鬼殺隊士になれるよう
俺が稽古につく!」
「……!本当?本当に?」
「ああ!でも俺も本気でいく。
手加減はしない!」
「…っありがとう!杏寿郎!
私、精一杯、頑張るね!!」
ふみのは、
溢れんばかりの笑顔を杏寿郎に向けた。
(俺は、この笑顔に、敵わないな…)
杏寿郎は、
ふみのの頭をもう一度そっと撫でた。
「ふみのお姉様!良かったですね!
俺も負けずに一緒に頑張ります!」
「うん!千寿郎くんも一緒に頑張ろう!」
「はい!」
「よし!!まずは素振り八百回!!」
「「はい!!」」
ふみのはその日から
杏寿郎から本格的に稽古をつけてもらった。
もちろん、今までの鍛錬とは
比べ物にならないくらいに辛い稽古ではあったが、
ふみのは杏寿郎の指導に全力で根気よく、
無我夢中で取り組んだ。
そんな様子を、槇寿郎は静かに見つめていた。