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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第6章 放たれた光




「…千寿郎くん…」

ふみのは千寿郎の言葉を聞いて、
昨日の杏寿郎の表情の意味が分かったような気がした。

(きっと、杏寿郎は、
 心配してくれて、いたのかな…)

杏寿郎が何を思っていたのかも考えず、
自分よがりになっていたことに、
申し訳なさが込み上げてきた。

(杏寿郎に、型を見てもらって、
 もう一度、自分の意思を伝えよう…っ)



するとそこへ、杏寿郎が現れた。

「おはよう!」

「兄上!おはようございます!
 体調はいかがですか?」

「うむ!お陰様で頗る良い!
 今日も鍛錬を始めるぞ!」

「はい!!」

ふみのと杏寿郎の目が合った。

「杏寿郎、おはよう」

「おはよう。昨日は手当てをありがとう。
 もうほとんど痛みは感じなくなってきた。
 ふみののお陰だ」

「それは良かったわ。
 もうすぐ朝食ができるから、待っててね」

「うむ!」

昨日のことがなかったかように
杏寿郎はいつも通りだった。

「あと、杏寿郎」

「…どうした?」

「あとで、私の型を、…見てもらえますか?」

ふみのは、じっと杏寿郎を見つめる。

少し間があってから、杏寿郎は口を開いた。

「ああ、分かった。
 是非その呼吸を見せてもらおう」

「……!本当っ?ありがとう!」

杏寿郎の返事にふみのは、
嬉しさが込み上げた。

朝食の準備しちゃうね、と
手際良く嬉しそうに支度を進めるふみのを見て、
杏寿郎は静かに笑みを落とした。

(…昨夜のことを、ちゃんと詫びなければ)

杏寿郎はそう思うと、
台所を後にした。


千寿郎もそんな二人のやりとりを見て
ほっとしていた。

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