火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
翌朝、
ふみのと千寿郎は朝食の用意をしていた。
「兄上は、本当にすごいです!
日輪刀が届けば、少しずつ鬼殺隊としての
任務も始まっていくみたいです!
兄上が隊服を着たら、きっととても似合う……、
……?、ふみのお姉様?どうされましたか?」
朝から嬉しそうに杏寿郎のことを話す千寿郎だったが、
ふみのは昨夜のことに、鬱々とした気持ちでいた。
「…ふみのお姉様?」
はっとしてふみのは千寿郎を見た。
「…っごめん!そ、そうだね!
杏寿郎は本当にすごいよね!」
「…ふみのお姉様、何かありましたか?
なんとなく元気がないように見えます」
「…そう、かな。
少し寝不足かな…っ」
ふみのは、
涙が出そうになるのをぐっと堪えた。
昨夜の杏寿郎を思い出す。
本当は杏寿郎に、背中を押して欲しかった。
一緒に頑張ろうと、言ってもらいたかった。
自分が未熟なことなんて、百も承知だ
そんなことぐらい、自分でも分かってる
でも、自分で決めたこの意思を、貫いていきたい
助けてもらったように、自分も誰かを救いたい
自分ができる最大限のことを
そばにいてくれる大切な人を、
守っていけるように強くなりたい
自分ができることなんて、
ほんの僅かなことかもしれないけれど
それでも、誰かの幸せに、笑顔に繋がるなら
私はこの命に、自分の使命を果たしていきたい
「…千寿郎くん。私、最終選別を受ける」
「…え?」
「私、最終選別を受けようと思う」
「で、では、鬼殺隊に…?!」
「うん。槇寿郎様に救っていただいたこの命、
そして今まで支えてくれた煉獄家のためにも
私は自分の命を掛けて、大切なものを守っていきたいの」
千寿郎は、ふみのの熱意に息を飲んだ。
「…俺はふみのお姉様のこと、
心から応援しています。
ふみのお姉様なら、
きっと、立派な隊士になれます。
…でも、きっと兄上は、とても心配しますね…」
「……杏寿郎が…?」
「はい。だって、兄上は、
ふみのお姉様のことを
本当に大切に想っているんだなって、分かります。
兄上がふみのお姉様を見る目は、
本当に優しい目をしています」