火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
瑠火の言葉が、
杏寿郎の胸に蘇る。
『ふみのさんを、どうか、頼みます。
どうかふみのさんの笑顔を、
これからも守って欲しいのです』
あの時、杏寿郎は、誓った。
ふみのを、守ると。
ふみのを、守り抜くと。
でも。
ふみの自身も
自分にできる何かを見つけたくて。
辛い過去を乗り越え、前を向いて、
今ある命を、懸命に、生きている。
(……俺は、ふみのを傷つけた)
ふみのの気持ちも考えずに、
酷いことを言ってしまったと
杏寿郎は後悔した。
(……、俺は、どうすれば……)
杏寿郎は、ふみのの背中を押したいと思いつつも、
このままでいて欲しいと、葛藤していた。
杏寿郎は、しばらくその場から動けず、
淡々と、夜は更けていった。