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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第6章 放たれた光




自室に戻る足を、ふみのは廊下の角で止め、
振り返って杏寿郎を見た。


「杏寿郎…っ」


ふみのが呼んでも、
杏寿郎は振り向きもせず、沈黙したままだった。


「杏寿郎が戻ってきてくれて、
 私、本当に嬉しかったよ…っ」


お休みなさいと、ふみのは小さく言うと
廊下から姿を消した。
















(……どうして、
 …あのような態度を、とってしまったのだろうか)



杏寿郎は、ふみのに対して
何故、あんなにも感情的に、
言葉を発してしまったのか
自分でも分からなかった。



まさか、ふみのが。

鬼殺隊に入隊を望んでいたとは。



嫌だと、思ってしまった。



全身が強ばるほどに、
ふみのの言葉が、受け入れられなかった。



怖くなった。



ふみのが鬼殺隊士になることが。

ふみのに、危険が及ぶことが。



ふみのが鍛錬に打ち込んでいるのは、
自身の生活の一部として
心身ともに鍛えているのだろうと、
そのぐらいに思っていた。

自分達に追いつこうと、
必死に食らいつくふみのの姿に
自分自身も感化された。

互いに切磋琢磨し合い、
励まし合い、とても充実していた。



でも、鬼殺隊に入るとなると、話は違ってくる。



真剣を握り、
如何なる状況でも鬼に立ち向かわなければならない。

どんな時も、鬼は容赦なく襲いかかってくる。


そんな場に、ふみのが

隊士として

鬼殺隊の一員として




鬼を斬る、ふみのに

もし何かあったら

ふみのに、何か、あったら




ふみののあの笑顔が

見れなくなってしまったら────



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