火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
杏寿郎の足の捻挫は軽症で、
あとは擦り傷程度で、他に大きな怪我はなかった。
「七日間、本当に、お疲れ様でした。
最終選別、無事に通過できてよかったわ…!」
杏寿郎は湯浴みを済ませ、夕食後に
縁側でふみのに怪我の手当をしてもらっていた。
「ありがとう!
ふみのの包帯もとても役に立った!
本当に助かった!」
「本当?それはよかった!
でも手首は?大丈夫?」
「ああ!もうほぼ完治した!問題ない!」
「よかった!
……杏寿郎、…怖かった?」
「うむ、怖くないと言えば嘘になるが、
もう一心不乱に刀を振っていた。
仲間を守るのに必死だった」
「そう…、でも杏寿郎が無事に戻ってきてくれて
本当に嬉しかった。
毎日瑠火様のお仏壇に手を合わせていたの。
どうか、杏寿郎をお守りくださいって」
「そうか…。ありがとう。
俺はふみのと母上に守られていたのだな」
杏寿郎はふみのに、
優しく微笑んだ。
杏寿郎の笑顔とは反対に、
ふみのは想像もつかない最終選別に
少し恐怖心を覚えた。
でも、鬼殺隊に入隊するには、
そこで七日間を生き延び、
鬼を倒していかなければならない。
到底、今のこの実力では最終選別を受けられない。
もっと呼吸の精度を上げなければ。
体力も、もっとつけなければ。
(杏寿郎に、鬼殺隊を目指していること、伝えなくちゃ…)
「杏寿郎、あ、あのね…っ」
「ん?どうした?」
「私も、
最終選別を受けてみたいと、思っているの」
その場の空気が、しんと静まった。