火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
光の呼吸ができ始めて、
四日が経った。
今日も真剣を握り、ひたすら刀を振るう。
まだ一日に数回しかできず、
それ以上やろうとすると体が持たなかった。
なんとなく要領は得てきたようにも思うが、
隊士となれば、これを常に当たり前にできなければ意味がない。
(まだまだ道のりは長い……)
でも、少しずつではあるが、
前に進んでいることにふみのは嬉しくもなった。
(杏寿郎は光の呼吸のこと、
何か知っているのかな。
この型も見てもらいたいな…)
杏寿郎は、今も鬼に立ち向かっていると思うと、
ふみのは、不安で心が騒めいた。
夜になると、
杏寿郎の夢を何度も見ては、目が覚めた。
(杏寿郎、どうか、無事でいて…)
空を見上げ、
ふみのはひたすら、祈った。
その頃杏寿郎は、最終選別開始から、
数体もの鬼の頚を斬っていた。
疲労も大分溜まり始めていた。
ふと、手首に巻かれた包帯を見る。
昨日遭遇した鬼の爪が当たってしまい、
手首を切ってしまったのだ。
その鬼を倒したあと、
ふみのの包帯を思い出し、自分で手当をした。
『大丈夫?痛くない?
もう少しで終わるからね』
丁寧に包帯を巻いてくれた、ふみのを思い出す。
ふみのは何をしているのだろうか。
千寿郎と共に、懸命に、
鍛錬に打ち込んでいるのだろうか。
ふみのに会いたい。
ふみのの笑顔が見たい。
(必ず、生きて戻る…!)
杏寿郎は前を向き、体勢を整え、
夜へと近づく藤襲山に備えた。