火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
呼吸を整え、深く息を吸う。
(いつもの瞑想を、同じように、いつものように)
縁側でしていた瞑想を思い出す。
段々と柄を握る手に熱が帯びて、
ふつふつと体の中に湧き出る光の粒が、
手元に集まってくる。
目を開くと、夜にもかかわらず、
ふみのの周りが明るく照らされる。
ドクンと刀が鳴る。
(今だ…っ!!)
ふみのは
刀を勢いよく振り下ろした。
「光の呼吸 壱ノ型 翠光!」
昼間のときよりも、
はっきりと、強く瞬く、
白と翠色の閃光が刃から放たれた。
光はしばらくすると、
すっと静かに消えて
地面にはいくつもの亀裂ができていた。
ふみのはぜいぜいと、
肩で息をしていた。
(これが、…光の、呼吸……っ?)
一気に体力が消耗し、
体がいつもより、ずっと重く感じる。
(つ、つかれた……っ)
ふみのはよろよろと自室の縁側に戻った。
やっとの思いで部屋に着くと、
千寿郎が慌てて部屋に入ってきた。
「ふみのお姉様!!
今、何か、音がっ!」
縁側にぐったりと横たわるふみのの姿に
千寿郎は目を見開いて、駆け寄ってきた。
「ふみのお姉様!!
何があったのですか?!大丈夫ですか?!」
「ご、ごめ…、千…寿郎、くん…っ、
昼間、のね、技、を、やってみたら、疲れ、ちゃって…」
「昼間の、技…??あの、光のこと、ですか…?」
「そう…多分だけど、できた、気がする…!」
まだ肩で息をするふみのは
にっこり笑って千寿郎を見る。
「心配かけて、ごめんね。もう、大丈夫…!」
ふみのはゆっくりと体を起こし、
もう一度大きく深呼吸をした。
千寿郎の頭をぽんぽんと撫でる。
「本当に、大丈夫ですか…?」
「うん!大丈夫!
夜遅くに、本当に、ごめんなさい。
さ!今日はもうお休み、しましょう」
千寿郎もほっと安心したように、
お休みなさいと言うと、自室に戻っていった。
(本当に、今日は疲れた……)
気がつくとふみのはそのまま寝落ちしてしまった。