火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
夕食後、
ふみのは日課の瞑想を始めていた。
今までよりも、
ゆっくりと時間をかけて
息を深く吸う。
空気の通り道を意識して、
体全体に流し込んでいく。
何回か繰り返していくと
心が段々と軽くなっていき、
感情がどんどん研ぎ澄まされていく。
雑念が洗われていき、
心が裸になってくようで、
本来の自分が見えてくるようだった。
感情の水面に
静かに、艶やかな光の粒が落ちていく。
体全体が、
じんわりとあたたまってくる。
代謝がどんどん上がっていくようで
心拍数も上がっているのがわかる。
しかし、心は穏やかだった。
呼吸が深まるほど、
体の中に光がいくつも現れてくる。
(今刀を握ったら、何か、掴めそう)
そう確信したふみのは
以前、杏寿郎がいつかのときにと貸してくれていた
押し入れにしまってあった真剣を持ち、
縁側からそのまま庭に向かった。
月に照らされた庭は
しんと静まりかえっていた。
目を閉じ、姿勢を正す。
今まで杏寿郎に教えてもらったことを思い出す。
今も杏寿郎は
一生懸命に刀を奮っている。
目の前の鬼を倒すため。
仲間を守るために、必死に戦っている。
(必ず、私も、鬼殺隊士になる…っ)
ふみのは
じりっと足元に力を込める。