火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第6章 放たれた光
本棚は、杏寿郎の持っていた以上の数の
本や古い書物たちで溢れていた。
(これを全部を見ていたら
かなり時間がかかってしまう…)
槇寿郎が帰ってきてしまう前に、
少しでも何か手がかりを見つけなれば。
本棚の書物を順番に眺めていると、
とある薄い一冊の本に目が留まる。
導かれるように、その本を手に取った。
白い和紙の表紙には何も書いておらず、
ところどころ破けていて、いくつもの染みができていた。
ふみのは表紙を捲った。
【 光〈コウ〉の呼吸 】
(…コウ、の呼吸……??)
その書物を読んでいくと
ある一文にこう書いてあった。
【瞑想に深く関係する呼吸。
女の剣士に見られるが、詳細は明らかになっていない。】
(瞑想…?!女性だけ…??)
次の頁を捲ると、技の名前らしいものが載っていた。
【型は、次の五つのみが現在知られている。】
壱ノ型 翠光〈スイコウ〉
弐ノ型 燐閃〈リンセン〉
参ノ型 幻明無垢〈ゲンメイムク〉
肆ノ型 煌陽の暁〈コウヨウノアカツキ〉
ノ型 イ〉
最後の五つ目の型は、
本の染みの汚れが酷く、見えなくなっていた。
(これって、もしかして…っ)
ガラガラッ
玄関の戸が開く音がした。
(っ!!!
大変…!!ここから出ないと…っ!)
ふみのは慌てて槇寿郎の部屋を出て、
さっと廊下の奥へ小走りで隠れた。
槇寿郎らしき足音が聞こえてきて、
襖の閉まる音が聞こえた。
(………)
はあ、と深く息をついた。
(ああ、どうしよう…罪悪感が…っ。
…しかも本、勝手に持ってきちゃった…)
手には先程の本がしっかり握られていた。
ふみのは自分がしたことを後悔したが、
先程起こったことが何か光の呼吸に関係しているのではと
気になってしまった。
(読んだらちゃんと返しにいこう…)
とぼとぼとふみのは部屋に戻っていった。