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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第6章 放たれた光




千寿郎に手当をしてもらい、
その日の鍛錬は止め、自室で瞑想をしていた。

だが、先程起こったことが頭から離れず、
なかなか集中できない。

(あの感覚、瞑想をしているときに感じた
 体を光の粒が巡っていくような感覚に似ていたかも…)

あれは何かの技なのか。

たまたま偶然に起こったことなのか。

何か呼吸と関係があるのだろうか。

瞑想にも全く集中できなくなってしまったふみのは
杏寿郎の部屋にある本棚に何か手がかりがないかと考えた。




ふみのは自室を出て、
杏寿郎の部屋の前まできてしまった。


(杏寿郎が留守の間に部屋に入るのは忍びないけど…。
 杏寿郎、ごめんなさい…)

「……お邪魔します…」

そっと杏寿郎の部屋に入る。

しんと静まり帰った部屋はどこか寂しそうにみえた。


もう何回も見た杏寿郎の本棚。
見たことがない本を手に取り、ぺらぺらと捲る。




どのくらいそうしていただろう。
何も手がかりになりそうな文献は見つからなかった。

(やっぱり偶然に起こったことだったのかな…)

少し残念に思いながら、
杏寿郎の部屋を出ようとした時、
千寿郎の声が廊下に響く。



「父上、どちらに行かれるのですか…っ?」

「…酒だ!酒をを買いに行く!!」

「そ、そんなに飲まれては体によくないです…っ」

「黙れ!!!」

ピシャンッと玄関の戸が閉まる音が響いた。



ふみのは杏寿郎の部屋で息を潜めていた。

(千寿郎くん、大丈夫かな…)

あとで千寿郎の様子を見にいこうとふみのは思い、
そっと杏寿郎の部屋から出る。



(……!!
 もしかしたら槇寿郎様の部屋になら、何か…!)



してはいけないことだとは思ったが、
ふみのは槇寿郎の部屋へと向かった。




(少しだけ。少しだけ、見させてもらうだけ…)

「し、失礼します……」

ゆっくりと襖を開け、槇寿郎の部屋に入る。

槇寿郎は、ここではない別室で酒を飲んでいた。
この部屋はもうあまり使っていないようだった。


千切られた紙や、
引き裂かれた書物が畳の上に散乱していた。

槇寿郎がどんな気持ちで鬼殺隊を退いたのか
ふみのは思い知らされた。

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