• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第6章 放たれた光




翌朝、
まだ薄暗い中で、
杏寿郎は身支度をしていた。



間もなく日が昇る空を眺めて、
杏寿郎は深呼吸をする。

(いよいよか…)

以前、槇寿郎から最終選別のことは聞かされていたが、
本当の鬼を倒したことはまだ一度もなかった。


この先、どんなことが待ち受けているのか。


杏寿郎の手が、微かに震えていた。

不安は感じでいないと思っていたが、
やはり少しばかり恐怖心が掠める。

震える手を、ぎゅっとにぎる。

(俺は、鬼の頸を斬る)

杏寿郎は、
自分に言いかせるようにゆっくりと目を閉じた。





トントン…トン…トントン…

台所の方から、
包丁がまな板を鳴らす音が聞こえた。

(!…まさかっ…)


急足で台所に向かうと、そこにはふみのがいた。

「…ふみのっ!こんな朝早くに…っ」

「あ、杏寿郎!おはよう!
 杏寿郎にお握りをと思って」

「すまない…こんな早くから…」

「ううん!気にしないで!
 大きめに結っておくね!」

中身は何にしようかと、
具材を棚から選んでいると
杏寿郎がふみのの真後ろに歩いてきた。


「ふみの」

「ん?なあに?」

くるりとふみのは振り返ると、
目の前にいた杏寿郎に抱きしめられた。


「……!!きょ、杏寿郎…っ?!」


杏寿郎の腕に力がこもる。

突然のことにふみのは驚いて、
体が硬直する。


「…ふみの。ありがとう」

/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp