火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第32章 《番外編》浅縹のひかりに願いを
「よもや…!
……! 少し、
薩摩芋の香りもするような…」
「!! そうなんです!
生地にりんごを並べる時、
さつまいものペーストも入れてみたんです…!
…あっ、さつまいもは、お好きでしたか…?」
「ええ、実は…大好物なんです。
嬉しいです。
本当にありがとうございます」
「本当ですか!?それはよかったです!
…うまく言えないのですが、
煉獄さん、さつまいもがお好きそうな
雰囲気がして…!」
「…!」
「レシピをちょっと
アレンジしてみたのですが、
お口に合ったら嬉しいです…!
あっ、あと、
冷蔵庫で冷やしていただくと、
ひんやりするのでおすすめです!」
それはたまたま、偶然なのかもしれないが、
杏寿郎はそのことに嬉しさを隠しきれなかった。
「本当に、嬉しいです。
大切にいただきます。
…その、一ノ宮さん、」
「はい!なんでしょう!」
「…この後、お時間はありますか?
職場の同僚に、
ひまわり畑で有名な
公園を教えてもらったんです。
宜しければ、一緒に行きませんか?」
「…っえ、で、でも、
お仕事終わりで
お疲れではありませんか…?」
「大丈夫ですよ。
丁度見頃だと聞いたので、
一ノ宮さんと
ご一緒できたら嬉しいなと思いまして」
「嬉しいです…!
ありがとうございます!
そうしたら、荷物だけ
持ってきてもいいですか?」
「ええ、勿論。
ここでお待ちしていますね」
はい!と、ふみのは嬉しそうに
自宅へと荷物を取りに行った。
ふみのは
小さなカゴバッグと日傘を持って
戻ってきた。
2人は車に乗り込み、
ふみののアップルバイを
杏寿郎の自宅に一度置いてから
ひまわり畑に向かうことにした。
「私、お花が好きで、
実家でもよく
ガーデニングをしていて…!
でも、ひまわり畑は初めてなので、
とっても楽しみです!」
ふみのが
助手席で嬉しそうにする姿に
杏寿郎の目尻が下がった。
「うわ〜!綺麗ですね!
黄色い絨毯みたい!」
「これは見事だな!」
公園は真夏日とあってか、
人はまばらだった。
少し丘になっているところから、
ふみのと杏寿郎は
ひまわり畑を見下ろした。