火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第32章 《番外編》浅縹のひかりに願いを
う〜ん…
お返し、何にしよう…
煉獄さん、
甘いものは好きかしら…
聞いておけばよかったな…
ぺらぺらとページを捲っていくと、
アップルパイのページに目が留まった。
そうだ…!
この間、禰󠄀豆子ちゃんと作った
アップルパイにしようかな!
…!
そしてその隣のページにあった
スイートポテトのレシピが目に入った。
…ちょっとアレンジして
さつまいものペーストもいれたら
美味しそうかも…!
ふみのはエプロンを身につけると、
さっそく作業に取り掛かった。
ふみのと杏寿郎が会った
その翌週のこと。
杏寿郎のスマホが鳴った。
画面の表示を見ると、
それはふみのからだった。
「…もしもし、煉獄です」
『あっ、煉獄さん、こんにちは!
突然お電話すみません…っ。
今、お時間大丈夫ですか?』
「ええ、大丈夫です。
如何…されましたか?」
『あっ、あの、この間お話した、
先日のお礼をお渡ししたくて…!
煉獄さんのお時間がある時に
お伺いできればと思ったのですが、
ご都合などいかがでしょうか…?』
「お忙しいところ、すみません。
お気遣いいただきありがとうございます。
…早速にはなってしまうのですが、
明日の午後からでしたら空いています」
『本当ですか…!
明日は私も休みなんです!
午後、煉獄さんのご自宅前に
伺ってもよろしいですか?』
「ええ、大丈夫ではあるのですが…、
明日は猛暑と予報していたので、
一ノ宮さんが宜しければ、
予定が終わり次第、
俺がご自宅に伺ってもよろしいですか?」
『…で、でも、
煉獄さんのお手間になってしまうのは
申し訳ないですし…っ』
「丁度、外に出ているので大丈夫ですよ。
しかも午後には30度を越すと
言っていましたし、
…図々しいかもしれませんが、
俺が伺います」
『かえってご足労おかけしてしまい
すみません…っ。
ありがとうございます…!』
「いえ、では明日、
そちらに向かう時にまた連絡をします」
『はい!わかりました!
明日よろしくお願いします…!
では、失礼します』
プツ、と二人の会話が終わり、
ふみのはスマホを
ぎゅっと胸の前で握りしめた。