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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第32章 《番外編》浅縹のひかりに願いを




「…本当に、色々とご迷惑ばかりかけて、
 申し訳ありません…。
 ありがとうございます。

 …あっ、あの、煉獄さんっ!
 もしよろしければ、その、
 ご連絡先を…
 お伺いしてもよろしいですか…?」

「…っれ、連絡先…?」

突然のことに杏寿郎は
ぽかんとしたままふみのを見つめた。

「そ、その!今日のお礼を、
 したいなって、思って…!」

「…!」

まさかこんな展開になるとは
思ってもみなかったので、
杏寿郎に驚きと嬉しさが入り混じる。

「一ノ宮さんからのお気持ちは
 大変嬉しいのですが、
 その、礼には及びません。
 当然のことをしたまでですので」

「いえ、煉獄さんに助けていただいてなかったら、
 どうなっていたか分かりません…っ。
 後日になってしまうのですが、
 その、何かお礼を
 させてはいただけませんか…?」

ふみのにじっと見つられ、
その瞳に杏寿郎は何も言えなくなってしまった。

「色々とお気遣いいただき、
 ありがとうございます。
 この間も美味しいパンを
 いただいてしまっているのに…」

「いえ!煉獄さんは何も
 気になさらないでください!
 私が、煉獄さんに…そうしたいなって、」

頬をほんのり赤らめて笑うふみのに
杏寿郎も笑みがこぼれた。

その後、二人は連絡先を交換し、
杏寿郎はふみのを
自宅のマンション前まで送り届けた。

「煉獄さん、
 今日は本当にありがとうございました。
 煉獄さんも帰り道、
 どうかお気をつけて」

ありがとうございます、と杏寿郎が言うと、
ふみのは軽く会釈をして車の外に出た。

車が去るのをふみのが
見届けようとしていたので、
杏寿郎は助手席の窓を開けた。

「一ノ宮さん、
 俺のことは気にせず、どうぞ中へ」

「あ、ありがとうございます…っ。
 おやすみなさい、煉獄さん」

「ああ、お休みなさい」

ふみのはまた頭を下げると、
マンションのエントランスの扉を開けた。

杏寿郎はふみのが中に入るのを見ていると、
最後にくるりとふみのが振り返り、
ちいさく手を振ってくれた。

杏寿郎はそれに笑みを返すと
車内からふみのに手を振った。

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