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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第5章 それぞれの思い




「杏寿郎、本当に、本当にありがとう!
 これからもずっと、大切にする!」

ふみのは満面の笑みを見せる。

「それはよかった!気に入ってもらえて何よりだ!」

「この絵は、私が海に行きたいと何回も言うものだから、
 それを見かねて、父が買ってきてくれたものなの。
 …見ていると、波の音が聴こえてきそうで…」

「本当に、綺麗な海の絵だ。引き込まれそうになる!」

「ね!本当にそうなの!
 杏寿郎は海に行ったことがないって言っていたよね」

「ああ!まだ行ったことはない!
 この絵を見てさらに興味が沸いた!
 ふみのの思い出の海にぜひ行ってみたい。
 もしよかったら、いつか連れて行ってはもらえないだろうか!」

「…!!
 もちろん!ぜひ一緒に行きましょう!案内するわ!
 約束ね!」

ふみのは杏寿郎の顔の前に、小指を差し出した。
杏寿郎はそっと、自分の小指を絡める。

「ああ、約束だ!その時が楽しみだ!」

ふふっとふみのは可愛らしく笑う。

その笑顔に、杏寿郎の心は、ゆっくりと和らいでいく。

(ああ、俺はふみののことを、きっと)



「杏寿郎っ…!!」

突然、ふみのの驚き慌てた声が響く。

杏寿郎はふみのの小指をほどき、
自分の手のひらのを見ると、
潰れたまめから出血しており、
包帯が赤く滲んでいた。

「大変…っ!今新しい包帯を持ってくるからね!」

ふみのは駆け足で包帯を取りに部屋を出た。

その場に取り残された杏寿郎は、
畳の上に置かれた海の絵を見つめた。


(いつか…一緒に、隣で眺めることができるなら。
 …ふみのを必ず、この思い出の場所へと、つれて帰る)


杏寿郎は自分の胸に誓った。

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