• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第5章 それぞれの思い




「ふみのはすごいな。
 日々、しっかりと自分を高めて、努力を怠らない」

「そんな!杏寿郎だって、
 毎日一生懸命に鍛錬しているじゃない。
 手のまめが潰れるまで素振りをして…。
 きっと杏寿郎は、強くなる」

「ありがとう。
 ふみのと話すと元気が出る!…不思議だ!」

にこっと笑う杏寿郎の笑顔に、
ふみのはどきりと胸が鳴った。

(っ!…なんだろう、胸がどきどきする…っ)

杏寿郎から、はっと目を背けてしまった。
心臓がばくばくする。

「?ふみの?どうかしたのか?」

「う、ううん!なんでもない!」

(…私ったら、急にどうしちゃったんだろう…っ)

顔が熱っているのが分かった。
自分のよく分からない気持ちに動揺するふみの。

「ふみの、顔が赤いぞ?具合でも悪いのか?」

「えっ!ほんとに?!め、瞑想をやりすぎたのかもっ!」

(私の心臓、しずまれ!しずまって…!)

ふみのは両手で真っ赤になる頬を覆い、
あたふたしていた。

杏寿郎はふみのの様子がよく分からかったが、
そんなふみのを可愛らしく思い、
眉を下げて笑っていた。

「そうだ、ふみの。これを受け取って欲しい」

杏寿郎が持っていた風呂敷を解くと、
濃紺で塗られた、木目が美しい額縁が出てきた。

「……これって…!」

思わず目を見開く。

「ふみのの海の絵にと思い、
 出かけた時に見つけたんだ。
 あの美しい海に合うような気がして、
 思わず購入してしまった。
 でもこれは俺の好みでもあるからな!
 ふみのが気に入ったら使ってくれ!」

異性からの初めての贈り物に
ふみのは目を輝かせた。

しかも自分が大切にしている
海の絵のことを覚えてくれていたなんて。

「…っ!嬉しい…!杏寿郎、とっても嬉しい!
 額があったらいいなって思っていたの!
 すごく綺麗な色…!さっそく飾ってもいいかな!」

「ああ!もちろんだ!」

ふみのは嬉しそうに箪笥の引き出しから
海の絵を持ってくると、
杏寿郎からもらった額へ絵を納めた。

絵はもともとその額に飾られていたように
自然に馴染み、群青色の海が、より一層美しく彩っていた。

/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp