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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第32章 《番外編》浅縹のひかりに願いを



教師たちもやっと
長期の休みに入れることもあり、
終礼前の職員室内は楽しげな様子だった。


「やっと夏休みだぜェ…」

今回の進路指導に
日々頭を抱えていた実弥は、
今にも椅子からズレ落ちそうに
天井を向いていた。

「なぁ、実弥チャン!
 プール行こうぜ、プール!
 あ!でも今年は皆で
 沖縄旅行もいいよな!?」

「…オイ…、誰が一緒に行くっつったァ…。
 海なんざ行ったら、余計に暑ィだろォが」

実弥とは真逆のテンションで
うきうきと張り切る天元。

「分かってねぇな不死川!
 それがいーんだっつの!

 …っお、伊黒!」

するとそこに、少々慌てた様子で
小芭内が職員室に入ってきた。

「今、警察が来て、
 どうやらこの近辺で
 不審者が出ているとのことだ」

「は?こんな明るい時間帯に?
 …ほんっと懲りねぇ奴らだな…」

「…また不審者かァ…。
 年明けにも
 あったばっかじゃねェか」

天元と実弥は眉間に皺を寄せ、
苛立っていた。

「つい先程、通報を受けて
 この辺りを巡回しているらしい。
 今校長が警察から詳細を聞いている。
 一先ず、この後下校する生徒たちに
 くれぐれも一人で帰らないよう
 呼びかけて欲しいとのことだ」

冬休みが明けた頃にも同様なことがあり、
当校の女子生徒が被害にあった。
幸いにも大きな事件にはならなかったものの、
絶えない変質者に
教師や保護者も気が気でない。

「伊黒、報告ありがとう。
 校長が戻り次第話しを聞いて、
 終礼時に生徒達に伝えよう」

杏寿郎がそう話し、皆が大きく頷いた。

楽しい夏休みの幕開けのはずが一変して、
職員室内は重たい空気に変わった。


 …何だろう

 とても 嫌な感じがする


突然感じた胸騒ぎに
杏寿郎は顔を顰めた。

窓の外には
大きな入道雲がわいていた。


・・・



 やっと終わった…



ふみのは書類の整理に追われ、
一人図書館の事務室で残業をしていた。

どんな仕事もてきぱきとこなす
後輩の無一郎が休みの日は
どうしても仕事が片付かず
残業になってしまうのだった。

手元の腕時計の針は21時を
過ぎようとしていた。

ふみのは帰りの支度を済ませ、
事務所の戸締りをして
図書館の従業員入り口を出た。

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