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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第5章 それぞれの思い




杏寿郎も瑠火を失ったことは、
とても辛かった。

母の側にずっと一緒にいたかった。
ずっとそばにいれると、思っていたのに。

ぽっかりと穴が空いたように寂しかった。

でも瑠火が残してくれた言葉が杏寿郎を支えていた。


(俺は、俺のやるべきことのため、生きていく)


そして、以前のような父に、戻って欲しい。


炎のような熱い心を持ち、逞しく、
強い、闘志に燃えた“煉獄槇寿郎”に。


父のような炎柱になることを、
杏寿郎は強く決意していた。





「ふみの、渡したいものがある。
 夕食後、部屋に行っても構わないだろうか」

「うん、大丈夫よ!
 渡したいものって…?」

「それは秘密だ!」

「ええ!なんだろう、気になるわ…」

「さあ!午後も素振りだ!まずは五百回!!」

なんだろうと、もやもやするふみのだったが、
杏寿郎に手を引かれ、庭に連れて行かれてしまった。





夕食後、
ふみのはいつもの縁側で、瞑想をしていた。


杏寿郎の部屋で
瞑想と呼吸についての本を見つけ、
少し前から夜の日課として取り入れていた。

最初は雑念が入り、
なかなか集中力が続かなかったが、
少しずつ体が慣れてきて、
長時間に渡ってできるようになってきた。

目を閉じ、ゆっくり呼吸を繰り返す。

鼻から吸う空気が、光の粒となり、
呼吸を送りたい体の箇所まで届けると、
そこに光がぽっと照らされるように、
じんわりとあたたかくなってくる。

(なんだろう、この感じ、はじめて…)

繰り返し呼吸を続けると、
その感覚は段々と鮮明になっていった。






しばらく続けてていると、
とんとんと襖が鳴った。

「ふみの、入っても良いだろうか」

はっと杏寿郎の声に、目を開け、返事をする。

「は、はい!どうぞ!」

がらっと襖を開け、
杏寿郎が部屋に入ってきた。

その手には、風呂敷に包まれた何かを持っていた。

「?、座禅をして、何をしていたんだ?」

「あ、瞑想をね、していたの」

「瞑想か!それはいいな!」

杏寿郎はふみのの隣に腰を下ろした。

「うん。杏寿郎に借りた本に
 瞑想と呼吸について書いてあって。
 最近やり始めたの。でも結構むずかしくて」

まだまだ修行が足りないやと、
悔しそうにふみのは笑った。

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