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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第32章 《番外編》浅縹のひかりに願いを



「はい、こちらの3冊を…、
 お願いできますか?」

「はい!もちろんです!
 ご利用期間は2週間になりますので、
 お手数ですが、
 それまでにご返却をお願いいたします」

ふみのは手際よく、
本に印字されているバーコードを読み取っていく。

ふみのの何一つ変わらない仕草が、
杏寿郎の目を捉えて離さなかった。

ふみのはその本たちを杏寿郎に手渡した。

「本日はご利用いただき、
 ありがとうございました。
 お気をつけてお帰りください」

ふみのが、ふわりと笑う。

その笑顔に杏寿郎の胸は酷く締め付けられた。
杏寿郎は軽く会釈をすると、
ふみのに顔を見せないように図書館を出た。


杏寿郎は隣の学習スペースにいる千寿郎に、
車に忘れ物を取りに行ってくると声をかけると、
込み上げてくる気持ちを押し殺し、
目元を押さえながら、車内へと駆け込んだ。


・・・


 さっきの人…
 泣いているように見えた…

 何か失礼なことしちゃったかな…


ふみのは先程対応した男性、
煉獄杏寿郎のことが気になっていた。


 …煉獄…さん…
 初めてみる苗字だわ…

 私よりも4つ歳上なのね…


自分の対応で何か不快な思いをさせてしまったのかと、
ふみのは杏寿郎の書いた申し込み用紙を見つめていた。


「…ふみのさん、
 どうかしたんですか?」


そこに現れたのは、
ふみのより一個下の後輩の
時透無一郎だった。

「あ、ううん、何でもないわ!
 大丈夫よ」

「そう、ですか。
 …僕、このラックの本、
 棚に片付けてきますね」

「うん!ありがとう!
 私もこっちの本、片付けちゃうね」

無一郎とふみのは手分けして、
返却された本を元の場所へと戻していった。


ふみのは棚に本をしまいながら、
ふと図書館に隣接する学習スペースに目を向けると、
先程の杏寿郎にそっくりな後ろ姿を見つけた。



 あれ… ?
 さっきより
 身長が…小さくなった……?



暫くじっとその後ろ姿を見ていると、
先程の杏寿郎が現れその少年に近寄り
声をかけていた。



 なるほど!
 兄弟で図書館かあ…!

 仲がいいのね…!



ふみのはその微笑ましい光景に綻ぶ。

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