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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第32章 《番外編》浅縹のひかりに願いを




杏寿郎は車を停めて、
久しぶりに実家の門を潜った。

・・・


「兄上、最近この近くにできた
 図書館をご存知ですか?」

「図書館?」


瑠火が作ってくれた食事をとりながら、
千寿郎が杏寿郎に話しかけた。

「そこの図書館、
 学習スペースがすごく広くて!
 しかも本の数もとっても多いんです。
 週末になるとよく利用させてもらっていて…!」

「私も先日、本を借りに行ってきたんですが、
 とても広くて驚きました。
 本の種類も沢山あるので、
 どれを借りようかと迷ってしまったほどです。
 スタッフの方もとても親切で、
 丁寧に利用方法を教えてくれましたよ」

瑠火も料理や手芸の本を
数冊借りたとのことだった。

「明日、行こうと思っているのですが、
 兄上もご一緒にいかがですか?
 …あ…、すみません、
 明日はお仕事の続きをされるんでしたよね…っ」

申し訳なさそうに笑う千寿郎を見て、
杏寿郎はぽんとその頭に手を乗せた。

「いや、今ちょうど試験問題を作っていてな。
 そこに出す問題に迷っていて、
 参考に出来そうな文献を探していたところだった」

「本当ですか!それは良かったです!」

千寿郎の顔にいつもの笑みが戻った。

「では明日、10時に迎えに来る。
 それでもいいか?」

「はい!兄上!
 ありがとうございます!
 よろしくお願いします!」

杏寿郎と千寿郎のやりとりを見て、
瑠火も槇寿郎も嬉しそうだった。

杏寿郎は瑠火の食事を終えると、
家族に見送られながら、
一人暮らしのマンションへと戻っていった。

雨はすっかり小降りになっていた。

・・・

そして翌朝になり、
杏寿郎は千寿郎を迎えに車で実家に向かった。

千寿郎を助手席に乗せ、道案内をしてもらい、
15分ほどでその図書館に到着した。


館内に入ると、
真新しい建物の独特の匂いがした。
図書館は1階から3階まであり、
建物の中央部分の
吹き抜けになった天窓からは、
陽の光が燦々と降り注いでいた。

杏寿郎は、その本の多さに驚いた。
また図書館入口のすぐ隣の空間には、
机が幾つも置かれた広々とした学習スペースが広がり、
学生達が勉学に励んでいるようだった。


「よもや…!
 これは想像以上だな…!」


杏寿郎はぐるりと
辺りを見渡した。

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