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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第31章 《番外編》咲く色を知るのは



「あのっ、
 きょうじゅろうさんとよしのと、
 かくれんぼをしていました…!」

「まあ、そうだったの。
 杏寿郎さん、
 ふみのたちと遊んでくださって、
 ありがとうございます。
 居間にお菓子を用意してありますから
 召し上がってくださいね」

「は、はい!
 おきづかいいただき、
 ありがとうございます!」

みちはにっこり笑い、
再び家の中に戻っていった。



「ふみのさん、あのっ…、
 こ、このはなは、なんといいますか!」

杏寿郎が指さしたのは、
ふみのが身を潜めていた芍薬の花だった。

「これは、しゃくやくというはなです。
 こっちは、すずらん、
 このきは、はなみずきです」

「なるほど…!
 ふみのさんは、がくしゃのようです!」

「そんな…っ、
 ほんをみて、おぼえてるだけです」

「よもや…!
 ほんがおすきなのですか!」

「は、はい…!
 まだたくさんはよめな…」
「もおーーーー!!!
 どうしてよしのを
 みつけてくださらないのですか!!」

「「 !! 」」

するとそこに
再び顰めっ面になったよしのが
二人の前に現れた。

しまったと、二人はよしののことを
すっかり忘れてしまっていたことに気付く。

よしのは不機嫌な顔で
二人に詰め寄った。

「よしのはたっくさんまちましたよ!!」

「よしの、ごめんね…っ。
 そ、そうだ!かあさまが、
 おかしをよういしてくださってて…!
 いっしょにたべましょう…?」

「よしのどの、すまなかった!
 よければおれのぶんのかしも
 ぜひともたべていただきたい!」

「………わかりました、
 おふたりのことはゆるします」

ふみのと杏寿郎はよしのを宥めると居間に向かい、
みちが用意してくれた菓子を食べたのだった。


杏寿郎は物知りで、
様々な話をふみのとよしのに聞かせてくれた。

杏寿郎も読書が好きで、
家にも沢山の古書があるとのことだった。

間も無く自分は兄になるのだと
杏寿郎は嬉しそうに話し、
生まれてくる兄弟と一緒に
本を読むのを心待ちにしていると話してくれた。


気付けばふみのは
杏寿郎の笑顔に惹かれていた。


今日初めて会ったのにもかかわらず、
どこか懐かしさと親しみが込み上げてくるようだった。

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