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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第31章 《番外編》咲く色を知るのは




座敷にいる建蔵から問われ、
ふみのはびくりと肩を揺らす。


 ごめんなさいって、いわなくちゃ…


ふみのは恐る恐る
襖を開けた。


「…!
 ふみのだったのか。
 そんなところで何をしていたんだ?」


建蔵は目を丸くして驚くと、
こっちへおいでとふみのを座敷へと招き入れた。

「とうさま、ご…ごめんなさい」

「よしのとかくれんぼを
 していたんじゃないのかい?」

「うん、これからかくれようとしてて…」

母であるみちからは
建蔵に来客がある時は
静かにするようにと言われていたのだ。

建蔵にも客人にも
迷惑をかけてしまったのではと、
ふみのはひどく落ち込んでしまった。


「ほんとうに、ごめんなさい」


深々と頭を下げるふみのの肩を
建蔵はぽん、と優しく手を乗せた。

「ふみの、
 気にしなくて大丈夫だよ」

ふみのがゆっくりと顔を上げると、
建蔵はやさしく微笑んでいた。

「ではふみの、
 お客様にご挨拶を。できるかな?」

建蔵にそう言わられて、
ふみのは客人──炎の神様──を
そうっと見つめた。

そしてその隣もちらりと横目で見ると、
その男性と全く同じ容姿の少年が
きりりと背筋を伸ばして座っていた。


「は、はじめまして…っ。
 一ノ宮ふみのと、いいます…!」


ふみのは手をつき、
二人の客人に頭を下げた。

そうっと顔を上げると、
ふみのはその少年とぱちりと目が合った。
しかしふみのは恥ずかしさから、
さっと視線を逸らしてしまった。


「お初目にかかります、ふみの殿。
 煉獄槇寿郎と申します。
 隣は息子の杏寿郎です。
 …杏寿郎、ご挨拶を」

「はっ、はじめまして!
 れんごくきょうじゅろうともうします!
 よろしくおねがいいたします!」


杏寿郎と呼ばれた少年の大きな声が
座敷中に響いた。


 び、びっくりした…っ


ふみのはその声の大きさに
びくりと肩が揺れた。

杏寿郎は、声が大きいぞと槇寿郎に注意を受け、
すみません!と謝るも、その声もまた大きく響いた。

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