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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第29章 蒼海の天水に光るは




「ううん、そんなことないわ!
 今日もお洗濯物干してくれてありがとう」

「ひかりも随分と色々な手伝いが
 出来るようになったのだな。
 今日も上手に洗濯物を干してくれていて、
 その姿に思わず目頭が熱くなってしまった。
 …時が経つのはあっという間だな」

「本当ね。
 ひかりも、もう五歳だものね。
 これからもたくさんの
 成長があると思うと
 すごく楽しみね…!
 …でもほんの少しだけ、
 寂しい気持ちもあるような気がして…」

「うむ…そうだな。
 我が子の成長した姿ほど
 喜ばしいものはない。
 しかしながらこの先少しずつ、
 俺達の手を離れていくのだと思うと、
 …ずっとこのままでいて欲しいとも
 思ってしまう」

杏寿郎は困ったように笑った。

生まれた時は、
腕の中におさまるほどの
ちいさな赤ん坊だったのに。

気付けば、あんなにも大きくなっていて。
子の成長の速さには驚かされてばかりだ。


どうか、ゆっくり慌てずに、
のんびりと大きくなって欲しいと
願わずにはいられない。


ひかりの笑顔がこれからもずっと
絶え間なくあるようにと、
二人は願うのだった。





その後、ふみのと杏寿郎は
無事に目当ての芋羊羹を購入できた。


「夕方だったからか、
 いつもより混んでいたわね…!」

「ああ、でも無事に芋羊羹が買えて良かった!」


茜色に染まり始めた空に、
家々からの夕餉の香りがただよう。

「…そういえば、
 ふみのと二人きりでの
 買い物は久々だったな」

「本当ね…!
 ひかりが生まれてからは、
 三人でお出かけしていたものね」

「ふみの、…家に着くまでの間、
 手を繋いでも?」

「…!」

杏寿郎の手が、
ふみのの前に差し出された。

ふみのはその大きな手のひらに
自分の手を重ねた。

変わらないぬくもりが
じんわりと膚に伝わってくる。


「ふふっ、なんだか久しぶりね。
 最初の頃を思い出して、
 何だかどきどきしちゃうわ…っ!」

「まだ互いに緊張していた頃を思い出すな。

 …ふみの、
 この先も、ずっと一緒だ」


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