• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第28章 御空の果てまで




「大丈夫ですよ、お気になさらずに。
 ふみのお嬢様とは
 小さかった頃に一度だけ
 お会いさせていただいただけですから
 無理もありませんよ。

 健蔵様もみち様もふみのお嬢様のことを
 とても大切になさっておいででした。
 その後に、よしのお嬢様、健一郎おぼっちゃまが
 お生まれになって…、
 絵に描いたような本当に素晴らしいご家族でした」

海保は目尻に溜まった涙を
指先で拭う。

「海保様、屋敷をこんなにも
 綺麗に残してくださっていて、
 本当にありがとうございます…っ。
 何とお礼をお伝えしていいのか…」

ふみのも海保の心遣いに
目頭が熱くなった。

杏寿郎も、良かったと、
ふみのの肩にぽんと手を乗せる。

「では…、この屋敷には、
 今は誰も住んではいないのでしょうか」

杏寿郎が海保に訊ねる。

「はい、今は何方も住んでおりません。
 年に数回、家の中を見て回っていますが、
 目立って破損などもございません。

 …ああ、すみません、
 この後向かわなければいけない所がありまして。
 もし、何かお屋敷のことでお話があれば…、
 こちらに文をいただければ幸いです」

そう言って海保は、自身の住所が書かれた
小さな紙切れを手渡してくれた。

「本日は突然お声がけしてしまい、
 大変失礼致しました。
 でも今日ここで、ふみのお嬢様にお会いできて
 本当に嬉しかったです」

「そんな…!こちらもお引き止めしてしまい、
 大変申し訳ありませんでした…っ。
 私も海保様とお話できて
 本当に良かったです…!
 またご連絡させていただきます!」

海保は嬉しそうに会釈をすると、
ぱたぱたと道の奥を進んで行った。


「こんなことってあるのね…っ」

ふみのは今起こっていることが
信じられなかった。

「ああ、ふみののご両親も
 嘸かし喜んでいることだろう。

 …ふみの。
 一つ…提案なのだが…、」

「…? 提案?」

「ああ、
 ここに一緒に住むのは…、どうだろう?」

「…えっ、ここに…?!
 わ、私と…、杏寿郎…が…?!」

「うむ!この屋敷もそうだが、
 あまりの海の綺麗さに心惹かれてな!」

杏寿郎からまさかの提案に
ふみのは驚き、
ぱちぱちと目を瞬かせる。

/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp