火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第27章 ふたつのあかり
それを聞いて義勇は目を丸くし、
ちいさく吹き出した。
「冨岡さん…!?
ど、どうかされましたか…??」
「いや、何でもない。
…楽しみにしている」
「はい!」
義勇は、太陽にそっと微笑む。
まったく…
本当に良く話すな 蓮
ふみのが作った鮭大根と鮭の甘酢あんかけを
義勇が食べる日はそう遠くはないのかもしれない。
そして退院日。
ふみのが帰り支度をしていると、
とんとんと扉が鳴った。
返事をすると、杏寿郎が入ってきた。
ふみのより先に退院していた杏寿郎は
家から迎えに来てくれたのだった。
「すまない、少々早く着いてしまった。
何か手伝えることはあるか?」
「ううん!大丈夫よ!もう終わるところだから。
最後に皆に挨拶だけして出ようかなって思ってて…!」
「うむ、そうだな。
炭治郎達はもう暫く蝶屋敷で過ごすそうだ。
また一緒に見舞いに来よう」
「うん、そうね!
禰󠄀豆子ちゃんから聞いたのだけど、
静養を終えた後は、
炭治郎くんと禰󠄀豆子ちゃんのお家で、
善逸くんと伊之助くんも
しばらくは皆で一緒に暮らすらしいの。
ぜひ遊びに来てくださいって言ってくれたわ!」
「そうか!それは楽しみだ!
嘸かし賑やかな暮らしになるだろうな!」
「ね!ほんとね!
こうやって皆と繋がりが持てるって幸せなことね…!」
正にそうだな、と杏寿郎は穏やかに笑う。
鬼殺隊に入隊しなければ、
生涯において
出会うことはなかったであろう仲間達。
鬼殺隊としての役目を終え、
それぞれの場所へと帰っていく。
ふみのは別れの寂しさを感じるも、
この先生きていく中で、
また皆とどこかで繋がっていくのだと思うと
その日が待ち遠しく思った。
「…ふみの」
「ん?なぁに?」
杏寿郎に真剣に見つめられ、
ふみのはただじっと杏寿郎の瞳を見つめ返した。
「杏寿郎…?どうしたの…?」
心配そうに声をかけるふみのに、
杏寿郎はその口を開いた。
「もしふみのが良ければなんだが、
…一緒に海を見に、行かないか?」
「えっ…!」
杏寿郎からの突然の誘いに、
ふみのは驚きを隠せない。