火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第27章 ふたつのあかり
私はいつも
貴方に
希(こいねが)う
そこからまた永い時が経ち、
光の隣には、
一つの火があの時と同じように、
寄り添いながら、光り輝いていた。
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「…───、───、
ふみの…っ?!」
名前を呼ばれ、
ふみのはゆっくりと目を醒ました。
天井に視点が合い、
自分は蝶屋敷の寝台に
横たわっていることに気付いた。
呼ばれた方向にゆっくりと顔を傾けると、
そこには心配そうに眉を顰める
杏寿郎と視線が重なった。
「…杏…寿郎…??」
「意識が戻って良かった…っ。
何処か痛むところはないか…?」
「うん…、大丈夫…」
反対側に顔を向けると、
そこには薫子もいた。
涙目になりながらも、
ふみのの様子に安堵している様子だった。
「七日間もお眠りになったままで…っ。
意識が戻られて本当に良かったです…!」
「薫子さん…、
ありがとう…っ」
まだ少し朦朧としているふみのは
体を起こそうとしたが、
上手く動かせなかった。
「ふみの、まだ横になっていた方が良い」
「私、カナヲ様を呼んでまいります…!」
薫子は駆け足で病室を出て行った。
ふみのは杏寿郎へと視線を戻した。
「…杏寿郎は…?
怪我は…してない…?」
「ああ、俺は大したことはない。
大丈夫だ」
「そう…っ。
…あの後…どうなったの…?」
その問いに杏寿郎の表情が陰る。
「…無惨は、
皆で朝陽が昇るまで追い詰め、
炭治郎がその息の根を止めた」
「…!!
…じゃあ、もう鬼は…」
「ああ、もうこの世には鬼は存在しない。
…しかし、多くの犠牲者も…出てしまった」
「…っ、皆…、皆は…っ、
今も手当を受けているの…?!」
「…それが…、」
ふみのは杏寿郎から聞かされた事実に
涙が止まらなかった。
自分を慕ってくれていた蜜璃の死。
その蜜璃を抱きしめたまま
亡くなっていた小芭内。
行冥も最後まで隠達が最善を尽くしたが、
静かに息を引き取ったとのことだった。
「…炭治郎くんは…?
善逸くんや伊之助くんは…っ」