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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第27章 ふたつのあかり





 …これは…夢…?



ふみのはひとり、
暗闇の中に立っていた。


すると、先の方に小さな光の粒が現れた。


初めて見るその光は
何故か不思議と懐かしく、
見つめているとあたたかい気持ちになった。


光は闇を照らし、
周りをやさしく照らし出していた。


そしてそこに現れたのは、
小さく燃ゆる火だった。


光は火が纏うかろやかな炎のゆらめきに
誘われるようにそうっと近づいた。

火も光のやわらかい明るさに惹かれ、
光の傍をくるくると舞う。


二つの放つ煌めきは
互いを照らし続けた。



そして、いつしか、


光と火は、恋に落ちた。



来る日も、来る日も、
二人は一緒だった。



 君の光は いつ見ても美しい


 貴方の炎は 
 私の心まで あたためてくれる



そして二人は思う。


 初めて会ったのに
 こんなにも愛おしい気持ちになるのは
 何故だろう、と。


いつまでも、
この穏やかな日々が続くと、
二人はそう思っていた。





しかしある日を境に、
火の明るさは少しずつ弱まっていった。


火は残る力で己を照らし、
光との時間(とき)を大切に過ごした。


光は日に日に小さくなる火の傍を
片時も離れなかった。



そしてある日。

光の目の前で
火の灯火が静かに消えた。



光は、酷く悲しんだ。



自分と同じように輝きを放つ火は
光にとってかけがえのない存在だった。



光は、独りになった。



火との時間を思い返すたびに、
光は淋しさに駆られた。



悲しみに暮れ、光の輝きは、
徐々に薄れていくようだった。



それを闇は見逃さなかった。

闇は光の哀しみを
冷ややかに見つめ憐れんだ。


 …今度は 俺が側にいてやるから


光はその言葉に誘われ、
闇は少しずつその輝きを覆い尽くそうとした。



しかし光がそのまま闇へと
身を任せようとした時、


火の灯火がふと思い起こされた。



いつもあたたかく辺りを照らし出し、
やさしく包み込んでくれた、
緋色に輝く燈を。



 また

 逢いたい



その想いは、強い輝きへと変わり、
闇はそれに勝てなかった。


光は、その希望を胸に、
その日からまた輝きを放った。


そして、
そこにもう一つの願いを込めた。


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