火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第26章 火光
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「…───っ!一ノ宮!!煉獄!!」
名前を呼ばれ、杏寿郎は目を開けると、
そこには義勇と炭治郎がいた。
「すまない…、気を失っていた…っ」
「煉獄さん…っ、
ふみのさんが目を覚まさなくて…っ。
呼吸はしているようなんですが…っ」
「…!? ふみの…?!
頼む!目を開けてくれ!!」
杏寿郎は隣に横たわるふみのを必死に呼びかける。
するとふみのはゆっくりと目を開けた。
「杏…寿郎…、…炭治…郎くん…、
冨…岡…さん…?」
ふみのはゆっくりと瞬きを繰り返し、
漸く意識を取り戻した。
「ふみの…!どこか痛むか…?」
「ううん…、大丈夫…。
夢を…見ていたのかな…。
杏寿郎と一緒に…手を繋いでて…、
蓮に会って…瑠火様にも、かあさま達にも会ったの」
「…いや、あれは夢じゃない。
俺もふみのと一緒にいた。
上手く説明は出来ないが…、
何処か違う時空にいたのかもしれない」
ふみのの脳内に、
みち達との時間の記憶が少しずつ鮮明になってきた。
どうやら今までいた現実の世界へと
戻って来れたらしい。
ふみのは右手でしっかりと
日輪刀を握りしめていた。
「…猗窩座は…?」
ふみのと杏寿郎は辺りを見回したが、
そこには鬼の姿はなかった。
「え!?ここに猗窩座が…?!」
炭治郎は驚き、義勇は目を見開いた。
「ああ。でもふみのの呼吸で頚を斬った。
これで上弦は全て討伐したということになる。
…あと残るは、無惨のみだ」
「…では先を急ごう。
一ノ宮、隠を此処へ呼んだ。
そのまま退却しろ」
「え…っ、冨岡さん、私も戦います…!
このまま引き下がれません…っ」
「…立てるのか?」
「立てま…っ、」
「ふみの?!」
身体を起こそうと腕を軸にするも、
全く力が入らず、起き上がれなかった。
日輪刀を握った掌は赤く腫れていた。
杏寿郎はふみのを
腕の中に抱きかかえた。
「…先程の呼吸の反動やもしれん。
ふみの、万が一のこともある。
早急に手当を受けた方が良い。
この先は俺達で進む」
「で、でも…っ!」