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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第26章 火光




「よしの、健一郎…っ、
 私を庇ったせいで、二人まで…っ。
 本当に、本当にごめんね…」

「何言ってるの!私はふみのねえさまを
 助けたかったんだから!」

「ぼく、ふみのねえさまが、だいすきだから」

「私も!ねえさまが大好きよ!」


よしのと健一郎は
嬉しそうににっこり笑うと
ふみのに抱きついた。



 夢みたい…っ



もう会うことはできないと
そう思っていた家族のぬくもりは
あの時のまま変わらずあたたかかった。

みちはふみのが泣き止むまで、
何度も何度も頭を撫でてくれた。


「…君が、煉獄杏寿郎くんだね。
 ふみのの父、一ノ宮健蔵です」


健蔵は瑠火の横に立つ杏寿郎に頭を下げた。


「お初にお目にかかります。
 煉獄杏寿郎と申します」

「ふみののことをいつも見守っていてくれて
 本当にありがとう。
 何とお礼を言っていいのか…」

「いえ…!
 俺の方が、ふみのに救われてばかりでした。
 自分らしく、いつも心穏やかに過ごせたのは
 ふみのが傍にいてくれたからです」

「杏寿郎くんのことは、
 瑠火さんから話を聞かせてもらっていてね。
 生前、会うことは叶わなかったけれど、
 このような形でも、
 話すことができて良かった」

「初めまして、杏寿郎さん。
 ふみのの母のみちです。
 お会いできて本当に嬉しいです。
 いつもふみのの傍にいてくださって
 ありがとうございました…っ」

初めて会うふみのの家族達は
何度も、何度も杏寿郎に感謝を伝えた。

それを瑠火も微笑ましそうに見つめていた。




 ずっと このままでいれたらいいのに




その場に留まりたい気持ちを抑え、
ふみのは涙を拭うと
みちの肩から頭を上げた。

「かあさま…。
 私、まだやらなくちゃいけないことが、
 たくさんあるんです。
 …皆のところに戻らなくちゃ…」

「…そうですね。
 本当に、ここまで立派にできました。
 …この先も、自分を信じて進んでいけば、
 必ず道は開けます。

 大丈夫。
 ふみのの傍には、とうさまも、よしのも健一郎も
 かあさまも、いつも一緒にいますよ」

にっこり笑うみちに、
ふみのの瞳にはまた涙が込み上がる。

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