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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第26章 火光



「いえ…、俺の方が母上と父上、
 千寿郎に支えられていました。
 …そしてふみのにも」

そして瑠火は杏寿郎に近づき、
ぽんぽんとその頭を撫でた。


「貴方は私の自慢の息子です。
 …早くに傍を離れてしまい、
 寂しい思いを沢山させてしまったと思います。

 けれど、ひたすらに、懸命に、
 己の使命に生きる姿に母は胸が熱くなりました。

 杏寿郎の母として生きてこれたことを
 心から幸せに思います。

 私を母にしてくれて、
 …ありがとう。

 どんな時も、大変立派でしたよ」


その言葉に、
杏寿郎の頬には一粒の涙が伝った。


瑠火も泣きそうに笑うと、
杏寿郎の頬の涙を拭ってくれた。


そして瑠火は杏寿郎を
そっと抱き締めた。


ずっと、その日を待っていたかのように。



「沢山、沢山頑張りましたね」



杏寿郎は瑠火の腕の中で、
静かに涙を溢した。

二人の再会にふみのも涙ぐむ。


瑠火と杏寿郎は思いも寄らない再会に
そのひとときを噛み締めていた。



その時だった。










「ふみの」










それは一度だって、忘れたことがない、

ずっと、ずっと呼んで欲しかった声。






「…かあさま…?」





母である、
みちの声だったのだ。



ふみのがゆっくりと後ろを振り返ると、
そこには、みち、健蔵、よしのに、健一郎がいた。





「…!!
 かあさま…っ、とうさま…!
 よしの、健一郎…っ!」





ふみのは泣きながら、
みちの広げた腕の中に飛び込んだ。


「かあさま…っ!かあさまなのね…っ」


みちは目一杯、
ふみのをつよく抱きしめた。

「ふみの…っ、
 本当にごめんなさい…っ。
 ここまでよく頑張りましたね…っ」

「ふみの。
 本当に立派だった。
 偉かったな…っ」

健蔵はみちとふみのを両腕で抱き締めた。

どれだけ会いたいと願っても
夢の中でしか叶うことのなかった
みちのぬくもりと優しい香り。

声にできない喜びに、
ふみのの頬には涙が止めどなく伝う。

みちも健蔵もよしのも健一郎も
皆がその再会に泣いていた。


ふみのは顔を上げ、
隣にいるよしのと健一郎を見つめた。

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