火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第26章 火光
瞬きを数回繰り返し、少しずつ焦点が合ってくると、
そこから見える真っ白に染まった空間は
果てしなく何処までも続いているようだった。
ゆっくりと起き上がり隣を見ると、
杏寿郎が横たわっていた。
「…!!」
ふみのは腕を伸ばして
杏寿郎の肩を揺らした。
「杏寿郎…っ!」
「…っ!! すまない…!
気を失っていたようだ…っ。
ふみの、怪我はないか…っ?」
「うん、大丈夫…!
杏寿郎は?平気…?」
「ああ、何も問題はない。
…此処は…一体…?」
「…私も分からなくて…。
まだあの建物の中なのかしら…」
二人は立ち上がると、
辺りを見回した。
「「…!」」
すると少し先に一人の人影がぼんやりと見えた。
「…誰…?!
猗窩座…??」
しかし鬼の妖気は一切感じられなかった。
二人はその場からじっと目を凝らした。
そして徐々に近づいてくる人影に
ふみのは息を呑んだ。
「…?! ……蓮…?
蓮なの…!?」
そこに現れたのは、
下弦の壱によって命を落とした
ふみのの親友であった當間蓮だった。
「ふみの、久しぶり」
生前と全く変わらない屈託のない笑顔で蓮は笑った。
「蓮…っ!!」
ふみのは泣きながら
蓮へと駆け寄り抱きついた。
「どうして…っ、どうしてここに蓮が…?!」
「あたしもよく分かんないんだけど、
あぁ、ふみのに会えるなぁって思ってたら、
ここにいたの。
なんだか、あったかい陽だまりの中にいるみたい!
これってふみのの呼吸が
創り出してる空間なのかな?」
「わ、私の呼吸が…?!」
「まさか當間少女に出会えるとは…。
つまり、俺達は日輪刀によって
この場所に引き寄せられたということか?」
「杏寿郎くんも久しぶり!
私の勝手な推測だけど!
あ〜っ、二人が一緒にいるとこ見れて良かった〜!
やっぱりふみのと杏寿郎くんは
お似合いだよ!ほんと!」
にこにこと嬉しそうに笑う蓮は
あの時のまま、何も変わっていなかった。
「蓮…、私…っ、
蓮にずっと謝らなくちゃって思ってて…っ。
あの時…私が傍にいたのに、蓮を助けらな…っ」
そう言いかけている途中で、
蓮は思い切りふみのに抱きついた。