火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第26章 火光
猗窩座の斬撃は杏寿郎のみならず、
ふみのにまで襲いかかる勢いだ。
…!
杏寿郎が攻撃止めている間、
私が呼吸を使えば…!!
ふみのは猗窩座と杏寿郎の間に
日輪刀を振り下ろした。
「光の呼吸 弍ノ型 燐閃!!!」
ふみのの閃光が九尾に変わり、
猗窩座の膝から下を両腕から食い千切るも
それは瞬く間に再生する。
「ふみの!!
後ろに下がるんだ!!」
猗窩座の狙いが
ふみのへと移された。
「…俺と杏寿郎の邪魔をするな。
破壊殺 乱式…!!!」
猗窩座の拳が
ふみのを目掛けて振り下りる。
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!!」
杏寿郎の刀から放たれた炎を纏う虎は
猗窩座の腕へと齧り付き、その動きを封じた。
その隙にふみのは日輪刀を
勢いよく猗窩座の頸へと斬り付けた。
「この…っっ!!」
激しく苛立つ猗窩座を見ても、
ふみのは恐れを感じていなかった。
寧ろ、猗窩座を救いたいと、
その一心だった。
「猗窩座…っ!
貴方の強さは、こんな事のために
あるべきものじゃないわ…!!」
「…!?」
その言葉に猗窩座の額に更に青筋が走る。
「俺がどうしようとお前には関係ない!!!」
猗窩座は固定された腕を引きちぎろうと踠くが、
燃え滾る虎は無我夢中で牙を立てた。
「その強さは…っ、
猗窩座の強さは、
何かを守るために生まれたものだわ…!
きっと何かを…っ、
…大切な誰かを守るために
強くなろうと思っていたのでしょう…!?」
「…っ?!」
ふみのの揺るがない瞳に、
猗窩座が僅かに怯んだ。
そして猗窩座の脳裏に
薄らと蘇る遥か昔に聞いた
懐かしい声が響く。
狛治さん…っ
もうやめて…!
────?!
それは今にも泣き出しそうで
か細くも、あたたかくやわらかい声色。
何なんだ
この声は…っ!!!
猗窩座はその声を掻き消そうと
今まで以上に波動を強め、技を繰り出した。
「破壊殺 滅式!!!!!」
猗窩座の攻撃が一段と威力を増すも、
ふみのも杏寿郎は必死に呼吸を放った。
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり!!!」
「光の呼吸 参ノ型 幻明無垢!!!」