火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第26章 火光
果てしなく続く空間は少しずつ様式を変えながら
再び襖で仕切られた部屋へとふみのと杲は走り進める。
…誰かに見られているような…っ
何処となく嫌な雰囲気が漂う。
すると杲がふみのの目線へと下降してきた。
「ふみのッ!!!
杏寿郎ト要ガ落チ合ッタトノコト!!!
場所モ此処カラ遠クナイ!!」
「本当…っ?!
じゃあ杏寿郎は無事なのね…?!」
「詳細ハ不明ダガ、
合流出来ルヨウ、本部カラ指示ヲ送ルトノコト!」
それを聞いてふみのは安堵する。
よかった…っ
杏寿郎は生きてる…っ
しかし、その安心も束の間だった。
ガラガラッ!!!
────?!
突然、進んでいた部屋の襖が全て閉ざされ、
ふみのと上空を飛んでいた杲は
別々の部屋へと切り離されてしまった。
何か来る…っ
ふみのはすぐさま身構え、
日輪刀を引き抜こうとした、その時、
「…お前、生きていたのか」
────…っ!?
突如背後からふみのの耳元に響いた
聞き覚えのある、冷め切った声────
その主は、
上弦の参・猗窩座だった。
猗窩座…っ!!
ふみのは瞬時に刀を抜き、
真後ろへと振り翳すも、
猗窩座は身をのけ反ってそれを躱し、
後転してふみのと距離を取った。
「…てっきり死んだかと思っていたが」
猗窩座は表情一つ変えずに、
ふみのを冷ややかに見下す。
「今日こそ、貴方の頸を…斬る」
「その程度の力じゃ、俺には通用しない。
…弱者に用は無い」
途端に空気が一変し、
猗窩座から放たれる重圧がふみのにのしかかる。
以前にも増して
覇気が強い…っ
ふみのは奥歯を噛み締め、その圧に耐えるも、
気付けば猗窩座の拳が既に眼前に迫っていた。
…っ!!
咄嗟に日輪刀を盾にし、その拳を食い止めた。
ふみのは猗窩座の拳を跳ね返そうと
必死に前へと押し出すも、
日輪刀はびくともしなかった。
後ろに引いたふみのの足が
じりじりと地面を削りながら下がっていく。