火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第25章 約束
しかし、上弦という鬼の凄まじさとその威力に
ふみのは改めて震駭する。
残る上弦の鬼は
…猗窩座のみ────…
ふみのの脳裏に、
無限列車での戦闘が蘇る。
右肩の傷跡が
ずきりと痛んだ気がした。
でも 鬼も
…猗窩座も
昔は人間だった…
無惨の血により鬼へとその姿を変え、
当時の人であった時の記憶は消え去られても、
何かの柵(しがらみ)に囚われるかのように
“弱く在ること”に対して激しく嫌悪する
猗窩座の冷酷な瞳がふみのは気になっていた。
猗窩座は何故あんなにも、
強さに執着しているのだろうか。
人間である杏寿郎に
何度も鬼になることを問いかけ、
永遠に生きながらも
只管に力を求め続ける理由とは。
…猗窩座の過去に
一体何が─────…
そこまでしてでも
猗窩座の心を酷く蝕むほどに
縛り付けているものとは何なのか。
…きっと何か
理由があるはずだわ…っ
走りながら、
ふみのは日輪刀を握りしめる。
…鬼を 悪を恨んでも
何も生まれない
私は
希(まれ)を込めて
鬼を斬る
皆の為に
未来の為に
そして
鬼が本来の心を取り戻す為にも────…
ふみのは更に速度を上げ、
その先へと進んだ。
そして、ふみのは祈る。
…どうか、
杏寿郎が無事でありますように……っ
ふみのは杲と共に、
その先を急いだ。