火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第25章 約束
あれ… 私…
どれくらい眠ってしまったのだろうか。
ふみのは意識を取り戻すと、
漸く焦点が合った。
…!!
無一郎くん達が…っ!!
ふみのは体を起こし、
柱の影から無一郎達を探すと、
その光景に目を見開いた。
上弦の壱と思われる
六つの眼をもつ鬼には木の根が巻き付き、
そこに無一郎も巻き込まれていた。
そしてその鬼に向かって、
実弥と行冥が詰め寄ろうとしているところだった。
その鬼──上弦の壱・黒死牟は
動きを封じられ焦燥しているように見えた。
私も加勢しなければ…!!
その時、
黒死牟が消魂しい唸りを上げ、
絡みついていた木の根を引き千切り、
持っていた刀を勢いよく振り上げた。
!!! 皆が…っ!!
ふみのは咄嗟に日輪刀を翳した。
光の呼吸 肆ノ型 煌陽の暁────…!!
ふみのの日輪刀から伸びた光は
黒死牟の刀から放たれた三日月形の斬撃を断ち切り、
その刃紋の眼を全て潰した。
…!!!
この光は…ふみのさん…!?
無一郎は最後の力を振り絞り、
黒死牟に刺した日輪刀を強く握り締める。
その瞬間、無一郎の日輪刀は真っ赤に染まり、
鬼は肉体の再生を試みても
その箇所から焼け付く熱さで身が捩れるようだった。
それを狙うように実弥と行冥、玄弥が総攻撃に掛かる。
再生を阻止された黒死牟は徐々に怯み始めていた。
そして追い討ちを掛けるように
玄弥からの血鬼術、行冥の鋼球鎖と実弥の攻撃が
頚元へと向けられた。
黒死牟の頸に行冥は狙いを定め、
鋼球鎖を頭部に直撃させると
実弥がその上から日輪刀を振り落とした。
黒死牟の頸は根刮ぎ落とされ、
真下の地面へと叩き潰された。
今だ…!!
頚を落とされた途端、黒死牟の動きが鈍る。
ふみのはその隙に
無一郎の元へと駆け寄り抱きかかえ、その場を離れた。
黒死牟は頚を斬られても尚、
行冥と実弥に襲いかかろうと
姿を変えながら足掻いていた。
そしてその姿は鬼以上に恐ろしい牙を持った
醜い魔物と化していったのだ。
行冥と実弥は黒死牟の動きが止まるまで
必死に刀を振るい続けた。
黒死牟はそれに抵抗を続けるも、
無一郎に日輪刀で刺された腹部から
みるみる内に体が崩れて落ちていった。