火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第25章 約束
一体何処まで続くの…!?
皆にも全く会えない…っ
走っても走っても部屋は途絶えることがなく、
ふみのは立ち止まり右往左往する。
この建物内には無惨が召集をかけたであろう
上弦の鬼達も潜んでいるに違いないと
ふみのは推測していた。
しかしその上弦の鬼でさえ、
全く姿を現さない。
既に皆が討伐しているのか。
鬼殺隊が衰弱しかけた時を狙い、
それまで身を潜めているつもりなのか。
一体…
皆は何処に…っ
進めば進むほど不安が募る。
他の柱に何かあったのではと
ふみのに焦りが出始めていた。
…!?
ここは…っ?!
すると突然、今までとは造りが異なる
開けた場所に出た。
天井に高く伸びる円柱が規則正しく一面に並び、
その空間は先が見えないほど
果てしなく広がっていた。
…!?
空気が 変わった…?!
全てががらりと一変し、
そこは重たく息苦しい、
無惨に近い妖気を放っていた。
…っ!!
ここには鬼がいる…!!
その時だった。
「…ふみの…さん…っ?」
「…!?
…む、…無一郎…くん…?!」
声がした方に振り向くと、
そこにいたのは無一郎だった。
しかしふみのは、
無一郎の姿を見て言葉を失った。
無一郎は円柱の壁に右腕の付け根を
自身の日輪刀によって刺し込まれ、
全く身動きが取れなくなっていたのだ。
そして左手首を切り落とされ、
その頬には痣も出現していた。
「……誰が…こんな酷いことを…っ」
無一郎に刺さった日輪刀は円柱をも貫通し、
鍔が肩にめり込むほどに深く刺されていた。
「…ふみの、さん…っ、
…この 日輪刀を…
俺から引き抜いてくれる…?」
「…!!」
ふみのは無一郎の日輪刀に
手を掛けようとするが
その痛みを思うと手が震え躊躇してしまう。
「…俺は、大丈夫 だから…!
早く…玄弥と不死川さんのところに…
行かなくちゃ なんだ…!」
「…!!
…分かったわ…、
……ごめんね…無一郎くん…っ」
ふみのの声は震えていた。
でも一刻も早く無一郎を
解放してやりたいとその一心だった。