火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第25章 約束
「…っ、だが、このままふみのを…っ」
「杏寿郎、信じて!!
私は大丈夫だから!!
お願い…っ!!」
ふみのは杏寿郎をしかと見つめた。
その眼差しに、杏寿郎は握った手に力を込めた。
「…分かった…っ!
ふみの、このまま鬼の体を使って
着地するんだ!!」
「うん!やってみるわ!!」
そして杏寿郎は、
ふみのの手を離した。
ふみのは自ら下層へと落ち、
日輪刀を振り下ろしながら、
鬼へと立ち向かった。
ふみの…!!
っ?!!
突然、杏寿郎の視界を遮るように、
襖障子が目の前で勢いよく閉じられてしまったのだ。
何…っ?!
杏寿郎はその障子に手を掛けるも
それはびくともしなかった。
ふみの…っ
どうか無事でいてくれ…っ!!
杏寿郎はぐっと下唇を噛むと、
そのまま向きを変えて部屋の奥へと走り出した。
「光の呼吸 壱ノ型 翠光─────…っ!!」
ふみのは落下と風圧を利用し、
光の帯を作るように
複数の鬼の頸に切り込みを入れた。
鬼の肉片に刃先が抵抗し、
速度が落ちたところで鬼の体に着地すると
そのまま身を翻して地面へと着地することができた。
光の切り込みは更に稲妻のようにひび割れ、
鬼の体を粉々に引き裂いた。
あと二体…!!
顔を上げた途端、
残りの鬼達がふみのに迫り走ってきた。
「小娘如キガ、出シャ張ルナァァ!!」
「─────…光の呼吸
弐ノ型 燐閃!!」
ふみのの日輪刀から繰り出された
二匹の九尾は閃光を放ちながら
その鬼の頚に食らい付くと
そのまま勢いよく噛み千切った。
鬼は最後の唸り声を上げながら、
黒い灰を撒き散らし消え失せた。
…まだ鬼の気配がするわ…
早く皆に加勢して
無惨に追いつかなくちゃ…っ
鬼らしき異臭が薄らと漂う中、
ふみのは迷路のような部屋を突き進んだ。
…どれくらい進んだだろうか。
手下の鬼達を斬り続けてはいくものの、
一向に無惨の気配を感じることはなかった。