火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第25章 約束
まだ炎と熱を放つ屋敷の瓦礫の中を
ふみのは突き進む。
空気が重い…
息が詰まりそう…っ
今まで感じたこともない妖気は
肺を圧迫してくるようだった。
この先にいるのはきっと…っ
炎の熱に加えて、膚に刺さるような威圧は
屋敷の中央に進むにつれ増していった。
そして───
ふみのの視界に映った人影。
その人らしきものには
無数もの鋭利な突起がその動きを食い止めるように
全身に容赦なく刺さっていた。
…──────っ!!!
…あれが…っ
鬼舞辻 無惨…っ!?
燃え盛る炎の中で串刺しにされ
血に染まったような眼(まなこ)をもつ人間────
否、それは人間の姿をした鬼、
鬼舞辻無惨がその姿を現した。
「テメェかァアア!!
お館様にィイ
何しやがったァアーーー!!!」
瓦礫からふみのの前方に現れた
風柱・不死川実弥が血眼で無惨に迫る。
「お館様ァ!!」
「お館様!!」
その後に、恋柱・甘露寺蜜璃、
蛇柱・伊黒小芭内が続く。
蜜璃ちゃん…!!
小芭内さんも…!!
そして炭治郎と義勇と共に
杏寿郎の姿が見えた。
杏寿郎…!!
杏寿郎もふみのに気付き眴をする。
ふみのもそれに応えるように頷いた。
一人じゃない
皆がいる…っ
そして目の前の無惨を見据え、
ふみのは柄を更に強く握った。
柱が皆、日輪刀を構え、
無惨の背後へと詰め寄る。
「無惨だ!!
鬼舞辻無惨だ!!
奴は頚を斬っても死なない!!」
「「「「「 !!? 」」」」」
行冥のその言動に皆が動揺する。
そして今までその姿を見たことがなかった
無惨の姿に皆が息を呑んだ。
無惨が背後へと視線を向け、
見開いた眼で柱達を睨め付けた。
「無惨!!!!!」
炭治郎の怒号が唸る。
それと同時に柱が一斉に日輪刀を振り翳した。
「霞の呼吸 肆ノ型 」「蟲の呼吸 蝶ノ舞」
「蛇の呼吸 壱ノ型」「恋の呼吸 伍ノ型」
「水の呼吸 参ノ型」「風の呼吸 漆ノ型」
「炎の呼吸 伍ノ型」「光の呼吸 参ノ型」
「ヒノカミ神楽 陽華突…っ」
炭治郎の刃があと一歩と差し迫った時、
無惨が冷ややかに微笑したのだ。