• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第24章 照らされた道



 無一郎くんにご馳走できてよかったな…!
 次は海に連れてってあげなくちゃね


無一郎を見送った後、
ふみのは玄関口の前で空を見上げていた。

絵の具を塗ったような鮮やかな青空が
どこまでも清々しく広がり、
太陽の日差しにふみのは目を細めた。


「ふみの!」

「…! 杏寿郎!
 おかえりなさい!」


するとそこに
炭治郎との稽古を終えた杏寿郎が帰ってきた。

「? ここで何をしていたんだ?」

「あ!あのね!
 今朝、杏寿郎に味見をしてもらったふろふき大根を
 無一郎くんにご馳走することができたの!」

「そうか!それは良かった!
 時透も嘸かし喜んでくれていただろう!」

「うん!美味しいって言ってもらえて…!」

「ふみのが作る手料理は全て絶品だからな!
 …また食べたいと言ったら、
 頂くことはできるのだろうか…?」

「もちろん!
 杏寿郎達の分もまだたくさんあるの!
 夕飯にまた用意するね」

「それは嬉しい!ありがとう!」

「杏寿郎、
 今日の鍛錬はもうお終いなの?」

「それがこの後、炭治郎と冨岡とで
 水柱邸にて打ち込みをすることになってな。
 炭治郎は禰󠄀豆子を見てくると一度帰宅した。
 俺はこのまま向かおうと思う!」

「そうなのね!
 じゃあ、お夕飯を用意して
 杏寿郎を待ってるね」

「ありがとう!
 日が落ちる前には帰宅する!
 …出かけてばかりですまない。
 久しぶりに身体を休められる時間なのに
 ふみのに家のことばかり任せてしまい
 申し訳ない…」

「ううん、いいのよ。気にしないで?
 お料理したり、お家のことをしたりするだけで
 とっても楽しいの!」

「そうか、それは良かった!
 しかしくれぐれも無理はしないでくれ」

「うん!ありがとう。
 杏寿郎も気をつけて。
 冨岡さんと炭治郎くんにもよろしくね」

「うむ!では行ってくる!」

そう言ってにこやかにその場を去る杏寿郎。

ふと、その背中を見た途端、
ふみのの胸がきゅうっと苦しくなり、
心臓が抉られるような動悸が総身に響いた。



 だめ


 杏寿郎

 行っては だめ



 ここに


 傍に いて─────




気付くとふみのは
門を出ようとした杏寿郎を追いかけ、
その手をきつく掴んでいた。

/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp