火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第24章 照らされた道
「ご、ごめんなさい!突然お誘いしてしまって…、
しかも無一郎くんの予定も聞かずに…っ」
強引にすみませんと謝るふみのに
無一郎はすこし躊躇いながら顔を上げた。
「…特に何もないけど。
…本当に、ご馳走になってもいいの?」
「もちろんです!
よかった!お声がけできて!
さっき完成したばかりなんです!」
にっこり微笑むふみのに
思わず見惚れてしまった無一郎は
恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
少し照れながらも嬉しそうにする無一郎に、
杲も満足げにふみのの肩に止まっていた。
「ふみの!作戦大成功ッ!」
「うん!杲さんもありがとう!」
…ふみのさんも
鎹鴉と仲が良いんだな…
無一郎は二人のやりとりに
ほわほわと心癒されながら、
ふみの達と炎柱邸へと向かった。
そして屋敷に着き、
無一郎が居間で座っていると、
「無一郎くん!お待たせしました…!
ふろふき大根です!」
「…! わぁ…美味しそう…っ」
皿に盛り付けられた
ほくほくと湯気が立ち上る大根が座卓に置かれた。
大根には練り味噌がかけられ、
その上には柚子の皮が細く飾られていた。
大根のやさしい香りと味噌の香ばしさ、
柚子の爽やかな酸味が無一郎の食欲をかき立てた。
「…ふみのさんのは?」
「私は大丈夫ですよ!
こちらは無一郎くんにって、お作りしたので!」
思わず、目の前のふろふき大根に目を奪われる無一郎。
小さい頃は両親からよく作ってもらったふろふき大根だったが、
鬼殺隊へと入り、誰かに作ってもらったことは今までなかった。
「…いただきます」
大根を崩さないようにそうっと箸を入れ、
しずかに口元へと運ぶ無一郎。
その様子をふみのは固唾を呑んで見つめた。
「…うん、とっても美味しい」
「ほ、本当ですか?!良かった…!
まだあるので、
たくさんおかわりしてくださいね!」
「…煉獄さんたちの、分は?」
「大丈夫ですよ!
杏寿郎達の分もちゃんと用意してあるので!
お腹は空いてますか?
足りなかったら他にも作るので言ってくださいね」
「ありがとう。
…ふろふき大根、両親によく作ってもらったけど、
同じくらい美味しい。
いくつでも食べられそう」