• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第24章 照らされた道



明日は朝から稽古が入っているので、
千寿郎の手伝いができないと思い、
ふみのはせっせとおむすびの中身の具材を
作っていた。


「台所にいるのは千寿郎か?」

するとそこに、湯浴みを終えた杏寿郎が
台所に顔を覗かせた。

「…!杏寿郎!
 お湯加減、大丈夫だった?」
 
「すまない!ふみのだったのか!
 千寿郎と間違えてしまった。
 今日もいい湯だった!
 …こんな夜遅くに、どうした?」

「明日のね、お昼の支度をしておこうと思って!
 私、明日は朝から稽古だから、
 千寿郎くんのお手伝いができなくて…」

ふみのの手元にはおむすびの具材や
簡単なおかずたちが色とりどりに並んでいた。

「…ふみのも疲れているのに、
 色々とすまない…。
 俺にも何か手伝えることはないか?」

「ううん、大丈夫よ!
 もう少しで終わるから!
 杏寿郎は先に休んでて?」

ふみのはにっこり笑うと
手元へと目線を戻した。

杏寿郎は何かできることはないかと、
台所をきょろきょろと見渡していた。

「…! ふみの!
 ではその流しの皿だけでも
 洗わせてくれ!」

「えっ、でも…」

杏寿郎は浴衣にさっと襷を掛けると、
流しの食器を洗ってくれた。

そんな杏寿郎にふみのは
すっかり見惚れてしまっていた。

(…杏寿郎って…、
 どんなことをしていても絵になるのね…)

いつでもふみのを気にかけてくれて、
どんなことも嫌な顔を一つせず、
率先して取り組むその姿勢に
ふみのは杏寿郎に
心底惚れ込んでいるのだと感じざるを得ない。

「…ふみの?どうした?」

ふと、二人の視線が重なった。

「あっううんっ、何でもない!」

「俺の顔に何か付いているか?」

「ち、違うの!
 …杏寿郎って、
 どんな格好も素敵だなって…っ」

みるみるうちに頬が赤く染まるふみのを
杏寿郎は目を細めて見つめた。

「ふみのの隊服姿も凛々しいが…、
 普段の着物姿も、
 そしてどんな仕草も可愛らしくて
 目が離せなくなってしまう。
 …俺は心底、
 ふみのに惚れ込んでしまっているらしい」

その言葉を聞いて、ふみのははっとすると
勢いよく杏寿郎の顔を覗き込んだ。

/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp