火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第24章 照らされた道
「ホラ、さっさと座敷に行けっての」
「は、はいぃっ!」
隊士達はぶるぶると震えながら、
室内へと向かっていった。
「…やはり、
瞑想の価値はあまりないのでしょうか…」
少し気落ちしたふみのは
自身の手元を見て俯いていた。
「ンなことねぇよ。
全集中の基本は瞑想だ。
どんな状況であれ、
如何に集中力を高められるかが重要だかんな。
基礎中の基礎。
それを蔑ろにする奴は話にならねぇ」
天元の言葉に、ふみのは勇気付けられた。
「宇髄さん、ありがとうございます。
私も薫子さんの準備、一緒に手伝ってきます!」
「ん」
ふみのは天元に頭を下げると、
屋敷の室内へと向かった。
天元は、ふみのの柱稽古のことで
杏寿郎から事前に言付けを受けていたのだ。
“もし可能であれば
ふみのの稽古を見守っていて欲しい”と。
杏寿郎は、柱としての経験年数が浅い
ふみのの稽古に対して
生半可な面持ちで臨む隊士がいるのではと
懸念していたのだ。
勿論、杏寿郎もふみのの稽古に同席したかったのだが、
炭治郎の稽古や自身の柱稽古でその時間は限られていた。
天元は、ふみのの初回の稽古の日程を事前に把握し、
敢えてその直前で出会すように計画を立てていたのだった。
「…えっっ!!!
何で音柱様がここにいらっしゃるのですか…!?」
「…ったく何奴も此奴も、
俺様の顔見るや否やビビりやがって。
別にいーだろが。俺がいたって。
ホラ、さっさと行った行った」
天元は集まる隊士を室内に誘導させ、
無事に予定の参加人数に達したので、
ふみのの指導による稽古が開始された。
「─────…そして、
各自深呼吸を繰り返した後、
先程お渡しした鈴を頭に乗せてください。
時間はまず一時間とします。
…では、開始します」
ふみのの合図とともに、
隊士達は目を瞑り、呼吸を整え始めた。
そして隊士達は姿勢を正すと、
ちいさな鈴を頭の上にそうっと乗せた。
各自集中しているようで、
しんとした沈黙が続く中でも
皆の波動がひしひしと感じていた。
数名ほど、鈴を落とすものも見られたが、
杏寿郎が提案した通り、
屋敷の周りを走り込んだ後、再び瞑想を開始していた。