火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第24章 照らされた道
「ホラあいつ、恋だの何だの、
そういう話が好きみてぇだし。
煉獄とのそーゆー話、
聞きてぇんじゃねぇの?」
にやりと笑う天元に、
ふみのの顔がぽっと赤くなる。
「そ、そうなのですか…!」
「ま、そん時は宜しくな」
「はい…!かしこまりました!
“楽しい女温泉の旅”をしてまいります!」
「ははっ、なんだよ、女温泉の旅って!
一ノ宮って意外と面白いこと言うのな?」
「そ、そうでしょうか…!
お褒めいただき光栄です…っ!」
益々顔を赤らめるふみのの頭を
天元がぽんっと軽く撫でてくれた。
「兎に角稽古は、変に畏まらず、
いつも通りの一ノ宮で進めりゃいいから。
あんま気負いすんな」
「…!ありがとうごさいます!
私、一生懸命頑張ります!」
暫く歩くと、
二人は稽古を行う屋敷へと到着した。
門の前には薫子が立っており、二人を見て一礼した。
「…にしても、
すーげぇ広いな?ここ」
「こんなお屋敷があったのですね…!」
「お館様より、ふみの様の稽古ならば、
ここが一番最適ではないかとのことでしたので。
私は中の準備をして参りますので、
ふみの様と天元様はこちらでお待ち下さいませ」
薫子は二人を縁側に案内し座らせると、
一人屋敷の中に入っていった。
「こりゃあ良い稽古ができそうじゃねぇか!」
「本当ですね…!
静かですし、集中できそうです!」
辺りをぐるりと見渡して、
うんうんと頷く天元。
するとそこに、
数名の男の隊士達が姿を現した。
「───…ホラまあ瞑想だし?
他の柱の稽古に比べたら簡単……って、
…げっっっっ!?!
何でここに音柱がいんだよ…っ!?」
ひそひそと小声で話しながら
屋敷に入ってきた隊士の顔色が一気に青ざめていく。
その隊士達に天元は静かに近づいた。
「よう。…“他の柱の稽古に比べたら簡単”ってか?
…お前ら、柱稽古を舐めてんじゃねぇぞ?」
天元が鋭く睨み、低く唸った。
「そ、そんな…!滅相もございませんっ!!
柱稽古を舐めているなど…!!」
「…俺様は音柱だぜ?
どんなに小声で話しても全部筒抜けだかんな?」
隊士の頭を鷲掴みした天元は微笑んではいるものの、
額には青筋が浮かんでいた。