火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第24章 照らされた道
そして先日より始まった柱稽古。
それは隊士達の想像をはるかに超えていた。
蝶屋敷には毎日のように、
軽症なのにもかからわらず、
泣き言を言って駆け込み、
稽古を放棄しようとするものが後を絶たなかった。
(しかしそれを見てもしのぶは、
満面の笑みで隊士を激励し、
すぐさま稽古へと送り返していた)
もちろん柱達も、
階級に関係なく手加減は一切しない。
へこたれる隊士達には、
容赦無く怒号を叩きつけていた。
「おい!!てめぇら!!
マジでどんだけ鬼殺隊にいんだよ?!
そんなんじゃ上弦どころの話じゃねぇよ?!」
第一の柱稽古・宇髄天元のところでは、
走り込みを終えた隊士達がばたばたと
地面に倒れ込んでいる。
「…って、おい!!
何寝てやがる!!
ハイ次!!もう十周だかんな!!」
((((…もう…無理…限界…))))
天元は竹刀をぶんぶん振りまわし、
悲鳴を出す気力も残っていない
白目を向けた隊士達を扱いていた。
その頃、煉獄家では。
杏寿郎に継子を申し出た炭治郎が
その指導を受けていた。
杏寿郎との稽古もさることながら、
柱稽古も並行してこなしている炭治郎は
以前にも増してその力を磨いていた。
上弦の陸に続き、肆の鬼も倒した炭治郎の刀捌きは
今までと比べ物にならない程にまで上達していた。
しかし炭治郎は現状に満足することなく、
杏寿郎の稽古にも柱稽古にも
必死に食らいついていた。
「炭治郎!足に重心を掛けすぎだ!
もっと体の体幹を使って支えろ!」
「はい!!」
竹刀のかち合う音が庭に響く中、
ふみのは台所で
千寿郎と一緒に昼食用のおむすびを結っていた。
柱は常に稽古を受け持ってはおらず、
空いた時間があれば、適宜その他の業務に当たる。
今日のふみのと杏寿郎の柱稽古は、
午後から控えていた。
ふみのは午後の稽古の支度を終え、
炭治郎と杏寿郎にと、
手際良く昼餉の支度を進めていた。
「そうだ!午後、杏寿郎の稽古に来る皆にも、
すこし多めに作っておいたほうがいいかしら?」
「そうですね!
追加で炊いてもいいかもしれません!
…ふみのお姉様、これは兄上に…ですか?」
「…! そ、そうなの!
杏寿郎…好きかなって思って
試しに作ってみたのだけど…!」