火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第23章 思いは光の架け橋へ〈後編〉
「…ふみの。大丈夫か?」
ふみのがはっと顔を上げると、
心配そうに杏寿郎が見つめていた。
「…何か思い悩んでいたのか?」
「あっ、ううん!何でもない!大丈夫よ!」
そうかと、杏寿郎は何かを察するも、
そっと笑いかけた。
「なるほど…、
しかしそうなると私は一体どうなるのか…」
行冥が数珠を鳴らしながら呟く。
すると義勇は静かに立ち上がると、
皆に挨拶をし、その場を退こうとした。
その言動に実弥が苛立ち、引き留めた。
「失礼すんじゃねぇ。
それぞれの今後の立ち回りも
決めねぇとならねぇだろうが」
「…八人で話し合うといい。
俺には関係ない」
義勇はそうきっぱり言い切る。
すると小芭内がぎろりと義勇を睨めつけた。
「関係ないとはどういうことだ。
貴様は柱としての自覚が足りぬ。
…それとも何か、
自分だけ早々と鍛錬を始めるつもりなのか」
小芭内の発言を無視するかのように、
義勇は部屋を出ていこうとした。
「テメェ!待ちやがれェ!」
実弥の怒号が響き、
義勇はその足を止めた。
「冨岡。…頼む。
些細な事でも構わない。
何か思い詰めているのであれば
俺達に話してはくれないだろうか」
杏寿郎も義勇の後ろ姿を見つめた。
「…俺は、お前たちとは違う」
その一言に、実弥の怒りが沸点を超えた。
「気に喰わねぇぜ…。
前にも同じこと言ったなァ冨岡。
…俺達を見下してんのかァ?」
実弥は勢いよく立ち上がると、
義勇へと詰め寄った。
「キャーー!だめだめっ!」
義勇に襲い掛かろうとする実弥を
蜜璃が必死に抑えようとした時、
バンッッッ─────…
行冥が両手を鳴らしたその轟音が
皆の総身にびりびりと痺れるほどに響いた。
「座れ…話を進める…。
────…一つ提案がある…」
行冥による提案は
“柱稽古”というものだった。
柱以外の階級の隊士は順番に柱を巡り、
訓練を受け、その柱より許可が下りれば、
次の柱の稽古を受けることが出来るという流れだ。
基本的に柱は多忙な為に、
継子以外に稽古は行わない。
しかし禰󠄀豆子の太陽の克服以来、
鬼の出没が嘘のように止んだ。
夜の静けさは今まで感じたことのない
異様な雰囲気が漂っていた。