火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第23章 思いは光の架け橋へ〈後編〉
蜜璃は顔を真っ赤にしてその場に蹲り、
穴があったら入りたいです…と、小さく詫びた。
うむ!甘露寺らしい見解だな!と
杏寿郎は蜜璃を宥めた。
しのぶも、赤面する蜜璃に
そっとハンカチを手渡した。
「…────痣というものに
自覚はありませんでしたが、」
すると無一郎が淡々と、
その時の様子を話し出した。
「思い当たること、
いつもと違うことがいくつかありました。
その条件を満たせば恐らく、
みんな痣が浮き出す。
今からその方法を御伝えします」
無一郎の見解はこうだった。
その時の心拍数は二百以上、体は燃えるように熱く、
体温も三十九度以上になっていたとのこと。
通常では考えられない状態だが、
これを超えることができるかどうかが
痣の発現に関わってくるのではとのことだった。
「では痣の出現が柱の急務になりますね」
しのぶがそう言うと、
行冥も早急に手を打つとあまねに断言した。
「…ただ一つ、痣の訓練につきましては、
皆様にお伝えしなければならないことがあります」
あまねは眉を顰め、
その続きを話した。
「もうすでに痣が発現してしまった方は
選ぶことができません…。
痣が発現した方は、
どなたも例外なく────…」
あまねが退室した後、
暫く沈黙が続いた。
あまねの最後の発言に、
皆が息を呑む。
“ 痣が発現した以上、
二十五を超えて生きることはない ”
既に痣が現れている炭治郎、蜜璃、無一郎は
その対象となっているということになる。
ふみのの脳裏で、
あまねの声が何度も木霊した。
(…炭治郎くん、蜜璃ちゃん、
そして無一郎くん…。
本当にそうだとしたら、
この先、長く生きることは…っ)
確かに痣が出現すれば、
驚異的な力が得られるであろう。
でもその代償に、寿命が削られてしまう。
過酷すぎる運命に、
ふみのは握っていた拳に力が入る。
でも今よりも 強くなることができれば
この痣の効力を駆使できれば
世にいる鬼達を
絶つことができる
この身がどうなろうとも
哀しみを止めることができるのであれば…っ
鬼の殲滅のため、悩んでいる猶予はない。
こうしている間も、
無惨の勢力は日々刻々と増しているのだ。