火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第23章 思いは光の架け橋へ〈後編〉
実弥はちらりとふみのを一瞥するも、
誰一人ふみのがいることに対して
意義を唱えるものはなかった。
蜜璃と無一郎もまだ完治はしてはなかったものの、
先日の見舞いの礼をふみのと杏寿郎に伝えてくれた。
そして引退した天元を除き、
柱が全員集結した。
奥の襖が開くと、
大変お待たせいたしましたと
耀哉の妻・あまねが娘二人を連れて姿を見せた。
皆が一斉に頭を下げる。
「…当主の耀哉が病状の悪化により、
今後の皆様の前へ出ることが不可能となった旨、
心よりお詫び申し上げます」
あまねの言葉に、皆が動揺し固まった。
ふみのが以前に耀哉に文を出した際も、
体調が優れないので面会は難しいとあったが、
これほどまでに悪化しているとは思ってもみなかった。
「お館様が一日でも長くその命の灯火を
燃やしてくださることを
祈り申し上げる…。
あまね様も、御心強く持たれますよう…」
行冥の労りの言葉に、
あまねは目をそっと閉じ、深謝していた。
そして、会議は本題へと進む。
禰󠄀豆子が日の光を克服したことにより、
以前よりも遥かに威力を増して
鬼舞辻無惨が襲い掛かってくると皆に告げた。
そして今回の上弦の討伐において
蜜璃と無一郎に発現した痣のことについても
言及がなされた。
痣は、始まりの呼吸の剣士全員にも発現していたが、
幾度となく鬼殺隊が壊滅されかけたことにより
伝承については曖昧な部分が多く、
殆ど継承されてこなかった。
唯一産屋敷家に残っていた
始まりの剣士により書かれた手記には、
“一人が現れると共鳴するように、
周りの者達にも痣が現れる”と記されていた。
────そして、
この世代で最初に痣が出現したのは、
炭治郎であるとのことだった。
炭治郎自身も痣の発現については不明瞭らしく、
それが発端となり、蜜璃と無一郎にも
痣の覚醒が広がったのではとあまねは推測していた。
蜜璃はあまねに
痣が現れた時の詳細を訊かれると、
「ぐあああ〜ってきました!!
グッてして、ぐあーって!!
心臓とかが、ばくんばくんして、
耳もキーンてして!!
メキメキイッて!!」
「「「「「 ・・・・・ 」」」」」
その返答に皆の目が点になり、
しーんと静まり返った。