火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第23章 思いは光の架け橋へ〈後編〉
「はい…!!
ありがとうございます!!」
嬉しそうにする炭治郎に、
杏寿郎も目を細めた。
禰󠄀豆子は眠たそうに目を擦り、
炭治郎の寝台に蹲ると
すうすうと寝息を立てて寝てしまった。
「そうしたら、私達はお暇しようかしら。
炭治郎くんも禰󠄀豆子ちゃんも
元気そうで本当に良かったわ!」
「では炭治郎、
蝶屋敷を出る日が決まったら、
鴉を飛ばして欲しい。
無理の無い範囲で稽古を始めていこう」
「はい!分かりました!
ふみのさん、煉獄さん、
今日はありがとうございました!」
炭治郎は寝台の上から、
ふみのと杏寿郎に笑顔で手を振った。
「炎柱様!」
炭治郎の病室を出て、
無一郎の病室に向かおうとした時、
一人の隠に声を掛けられた。
「お忙しいところ、大変申し訳ありません…。
先日の任務のことで、
しのぶ様がお聞きたいことがあるそうで…。
少々お時間を頂いても、宜しいでしょうか…?」
「ああ、構わない。
ふみの、すまないが、
俺は後から時透のところへ向かう」
「うん、大丈夫よ。
先に行ってるね」
ふみのは杏寿郎と別れ、
先に二階の病室へと向かった。
(ええっと…、ここかな…?)
ふみのは炭治郎が教えてくれた
無一郎の病室の前に立っていた。
とんとんと、扉を鳴らすと、
どうぞと無一郎の声が聞こえた。
ふみのはそうっと病室の扉を開けた。
「し、失礼します…!
時透くん、今大丈夫ですか…??」
「…!! ふみのさん…!!」
寝台から起き上がっていた無一郎と
ふみのはぱちりと目が合った。
今までよりも、表情が見違えるほど明るくなり、
いきいきとした無一郎にふみのは驚いた。
「た、体調は…?いかがですか…??」
「うん、もう殆ど治ってるんだけど、
まだ少し腕の痛みがとれなくて」
「そうだったんですね…。
でも、ご無事で何よりです…!」
「…ねえ、あの、」
「はっ、はい!」
「…煉獄さんは、一緒じゃないの?」
「あっ、一緒には来ているんですが、
今、しのぶさんに呼ばれていてっ」
「そっか。
…ここ、よかったら座って?」
「あっ、ありがとうございます!」
無一郎は寝台の横にある
椅子に視線を向けた。